アルトネリコ 世界の終わりで詩い続ける少女 ネタれびゅー。

はじめに

 以下はあくまでも「ネタゲー」としてのレビューであり、如何にこのゲームがネタであるのかを延々うだうだ述べているだけのものなので、ゲーム本来(もしくは全体)の印象・感触・満足度その他の感想とは九割方そぐわないものであることを最初にお断りしておきます。

 また、大いにネタバレしまくっているので、今後アルトネリコをプレイしてみようという方にはおすすめしません。個人的には、

 といった主にネタ目的の方にお楽しみいただければと思います。

 何もこんなことを書くのはこのゲームを貶めたいわけでは決してなく、もっとこうだったら最高だったのになあという口惜しさをただ吐き出したいだけの結果であります。愛ゆえの苦言ということでご理解いただければ幸いです。

 だって本当に惜しいんだよ勿体ないんだよ一部分は本当に面白かったんだよ!!(血涙)

 また、一応全エンドは見ていますがオリカルート中心に話をしています。*1

※繰り返すようですが以下はネタゲーとしてのレビューです。

 アルトネリコは全三章構成のギャルゲちっくRPGです。
 各章の内訳はこんな感じ。

 俺は悪くn(以下略)

Phase1…慣れた者勝ち

当初名前を覚えてなかった頃は「カイルもどき」と呼んでました<ライナー

 PHASE1が開始してすぐ、主人公ライナーはある使命を果たすべく見知らぬ世界へと降り立つのですが、まあなんつーかこのライナー、少々オツムが薄弱な方のようです。
 というよりは何も考えてないというのが正解っぽい気がしますが多分気のせいだと思い込むことにしましょう。しかしのっけから邪魔するやつは倒すしかない思考が炸裂して終盤付近までそのままだったりするのもきっと気のせいだ。ちなみに彼がピンチに陥ったときの口癖は「ヤケクソだ!」です。
 ところでライナーは「エレミアの騎士」という、世界の中枢ともいえる建物の管理者を護る仕事をしていたりするのですが、この蝶直列回路思考の持ち主がなにゆえそげな要職に就けちゃったのかが激しく疑問だったりします。
 ただライナーの父親はライナーが住む街「プラティナ」の総帥なので、はっ、つまり親の七光りか! どうも役所に頭の弱い役人がいるなあと思ったらやっぱりコネだったみたいなアレですか!(生々しい例えしない
 そんなライナーパパ(声:銀河万丈)は、ライナーに剣を捨てて書物を読んで政治家になれとか言ってきます。
 いやパパあんた、こんな頭の弱い奴に政治なんて小難しいことをやらせようなんてどんだけ親バカなのですか! だいたい戦ってるときにまともな戦況判断すらできない騎士なんですよこいつは! 後々絶対に苦労したり妙な立場に追い込まれるのあんただからそれだけは止めておけ! とかそんな親バカ万丈の心配ばかりしていたのは秘密です。

 そんな感じで戦闘能力は一応あるけど他は雨の日の某大佐とも言うべきプレイヤーキャラのライナー、ぶっちゃけ感情移入がしずらいことこの上ありません。
 まあそのへんは、いつかこのノータリン(うっかり言いたい放題)も成長する日が来るのだろうだから今は我慢我慢と言い聞かせて気にしないことにします。
 但し、「ルーク@TOAだってあんなにも萌え燃えな子に成長したんだ……!」などと期待したら確実に血の涙を流すことになるのでそんなことはしない方が無難です(こら)

 さらに人によっては最大のアレな要因があります。
 声です。中の人のアレです。
 私は事前にすさまじいと聞いていたのと、アニメばっか見てるせいかそのうち慣れました。が、絵柄の可愛さカッコよさにほだされてドキワクしながらプレイ開始していたらばそりゃあしょんぼりぐんにゃりするのも致し方ないというかもがむぐ。いやうんその、中の人には大変申し訳ないのですがすいませんちょっと苦しい。
 コンフィグで音声オフにできるのでしょんぼりぐんにゃりだった人はそちらでどうぞ。
 ただしエロゲのように各キャラ別にオフとかできないので、おにゃにょこの声も全てオフになりますが。
 もうね、コンシューマーでエロゲ(風)やりたいならまずはその足回りから真似をしていけと(こら)

それなんてエロゲ(の日常会話)?

 アルトネリコにはとにかくエロくさい言い回しや、思春期の子供たちの想像を否応にも掻き立てまくるお前は電撃文庫か!(主におかゆ分)(偏見)的な会話が盛りだくさんです。
 特にPHASE1では序盤からこれでもかと交わされます微妙な声付きで(こら)
 もちろんPHASE2や3でも出てきてはいるのですが、その頃にはもう感覚が麻痺しておりいちいち記憶に残るほど気になったりはしないので、はっ、つまりPHASE1ののっけからアレ会話が連発されるのはプレイヤー側に耐性をつけるため……!? な、なんて考えられたシナリオ戦略!(どどーん) とか言ってる自分がちょっと切ないので先に進みます。

 その会話群がどんな感じかといいますと、以下をご覧下さい。
 ライナーが見知らぬ世界に降り立ってすぐ、モブキャラの教会側の戦士たちがやらかしている会話です。

   教会の戦士A:「いつもしっかりいたわってますから」
Aのレーヴァテイル:「えー…うそばっかり! この間だって私が疲れてるとき、寝付けないから子守唄歌ってくれって…」
   教会の戦士A:「おま!バカ!こんな時にそういう事言うなよ!」
   教会の戦士B:「な!お前そんなことしてもらってるのか!…いいなぁ…。」

 「レーヴァテイル」というのは、音を力に変える能力(簡単に言うと詩魔法が使える)を持つ人型の稀少種で、女性型しか存在しません。
 教会は彼女たちを保護し、能力の高い者は(教会の)人間とパートナーを組ませて活動(戦闘とか)をさせています。

 このシーンはおそらく(ゲームをクリアした後だからこそ思えるのですが)、「レーヴァテイルの詩を子守唄代わりなんかに使ってしまう」=「レーヴァテイルの詩(魔法)は単なる歌ではなくてもっと凄いモノ」とかそんな感じのことを言いたかったものだと推察します。
 ただそれが最後に「お前そんなことして〜」と会話を締めくくってしまったおかげで、注目すべきが「詩の重要度」ではなく「子守唄を歌ってもらうシチュエーション」が羨望の的、と誤認されてしまった気がしました。*2
 なにゆえそんな中学生がドキワクする感じのしょっぱいエロくさ会話で締めてしまったのでしょうか。
 これでは単に「仕事上のパートナーをムフフなことに利用してしまうような、ある種公私混同気味なパートナー関係を教会は黙認しています」ということを暗に伝えているだけのような気がしてならないわけです。あれっそんなこと思ったの私だけですかそうですか。
 個人的にはここはそんな微妙な雰囲気を漂わせるのではなく、まあ例えば、

「お前そんなことして、隊長にバレても知らないぞ」

 とか、まあつまり『「レーヴァテイルの詩を子守唄に使う」ことは懲罰対象である』と示してみたらどうでしょうかね。下ネタ風羨望の的ではなくて。
 これでレーヴァテイルの詩の重要性が示せるだけでなく、教会の人間は真面目で堅物=「正義(側)」*3だってことも示せますし。
 こういった会話の節々から感じられる、エロ(もしくはグロ)な裏側をうっかり深読みしそうになる箇所が無駄に多いのがこのアルトネリコの特徴です。*4

 キャッチーな絵柄のキャラデ、そして大量の挿入歌を歌いあげる歌姫達の最強布陣、それがどうしてこうまで下世話な内容に成り下がっているのか、非情に残念でなりません。
 いつもの蝶ベタベタ王道展開なわりに終わり方だけは死ぬほどあっさり、なガストクオリティ*5は何処へ行ってしまったのでしょう。
 ただ一つ、操作感覚だけはあのいつもと変わらぬもっさりな蝶ガストでありましたのに!(ぉ

慣れたら燃える戦闘システム

 アルトネリコの戦闘システムは少々特殊です。

 ヒロインの女の子達は先述した「レーヴァテイル」という種族です。
 この世界の人間はいわゆる「魔法」が使えませんが、彼女たちレーヴァテイルは詩を謳うことで攻撃したり回復したりできる「詩魔法」を遣うことができます。

 「詩魔法」は、使用する「詩」を選択しゲージを貯めて発動させるのですが、「この魔法はゲージを1000貯めれば使える」というものではなく、例えば攻撃魔法なら「貯めたゲージ分ダメージ量が増える」という物量換算方式。
 また敵側には三段階のダメージレベルみたいなのがあり、これは人間キャラが武器で攻撃すると上がります。逆にターンが回ると減っていきます。
 このレベルを「ハーモニクスレベル」というのですが、このレベルが高ければ高いほど、詩魔法のダメージ量が倍増するのです。また敵が落とすアイテムの質も高くなっていきます。
 というかハーモニクスレベルが0だといくら詩魔法のゲージ貯めてもしょっぱいダメージしか与えることができません。よって、「詩魔法のゲージを貯める間に人間キャラが攻撃してハーモニクスレベルを上げておく」、が戦闘の基本スタイルになります。

 序盤はライナーがべちべちぶっ叩くだけでも敵は倒せます。
 が、回復能力を持ってる敵に対しては、ゲージとレベルを上げまくった詩魔法で一撃必殺大ダメージかまさないと勝てないことがほとんどです。
 裏を返せば、上記のような敵が出てこない限り、ライナーがしょっぱい叫び声をあげながら敵をたたっ斬るだけでOK、という戦略抜きのボタン連打作業になりがちなので、正直序盤の戦闘は退屈です。

 中盤以降の戦闘になると、レーヴァテイルの詩の使いどころ(タイミング)でがらりと戦況が変わってきます。
 その気になれば敵のターンをどんどん先送りにしてタコ殴りしてノーダメージ勝利とかもできたりもします。*6このへんの戦略に気付いてしまうと後は坂を転げ落ちるように面白くなります。
 この世界には「グラスノ結晶」という、ありていに言えばパラメータを上げたり攻撃自体に特殊効果が付与されたりする特殊な物質があり、これを武器防具果ては詩魔法にまで装備することで、攻撃(および戦略)の幅が広がるのです。

 ちなみに詩魔法に「グラスノ結晶」を装備することを「インストール」と言い、「インストール」はレーヴァテイルにとって非常に痛みを伴う作業だということです。
 また、大量に「インストール」をした詩魔法を使うのも、インストールしていないそれを使うのに比べて負担がかかるといいます。

 さて、ヘルプ満載のガストクオリティはバンプレとの共作であるアルトネリコにも健在で、当然「インストール」のやり方を説明するイベントがありました。
 内容はまあすぐ上で説明した通りの内容が、蝶お約束的な思わせぶりエロ会話でもって声付きで行われたわけであります。
 ……これがめがっさ燃えで萌えで頼りがいのある純情熱血主人公であったならば王道ベタネタガスト万歳いいぞもっとや(以下略)だったのですがいかんせんライナーではちょっと(自主規制)*7

べ、別に「調教」って言うのが恥ずかしいからじゃないわよ!
  アトリエシリーズのガストだからあえて「調合」って言ってみただけなんだからね!?
  作中ではちゃんとあからさまに「開発」って言い切ってるんだから!
  CER○審査はこれで乗り切れたようなものだし、か……感謝しなさいよ!?

 ガスト×バンプレと聞いておおおなんだその予想外かつそこそこ豪華な組み合わせ!とうきうきしながら情報を漁っていた私を豪快に萎えの底へと叩っ込んでくれやがりました「ムスメ調合」
 まさかそのどう見てもYU-NOです。本当に(以下略)なサブタイは発売前からエロゲ逆移植を狙ったものなのかそうなのか!?(な、なんだって!?*8) 嘘だと言ってよ、バーニィ。

 というわけでアルトネリコを説明するならこのムスメ調合システムを説明しないわけには参りません。*9

 簡単に言うと「ムスメ調合」とは、レーヴァテイルの心の中に潜りその内面を無遠慮に暴き立てることで心を開かせ仲良くなろう的な蝶強引カウンセリング、とでも申しましょうか。
 レーヴァテイルの心の中に潜ることを「ダイブ」と言います。
 このダイブ中に心の中で起きたことはレーヴァテイル当人は覚えていません(一名のみ例外あり) まさにやりたい放題なわけです。
 まあ、実際にやりたい放題なのはレーヴァテイル達の方でしたけど(笑)

 このゲームは、ライナーがレーヴァテイルにダイブして心を開かせる過程で、戦闘時に使う「詩魔法」を習得していくというシステムを取っています。
 例えレーヴァテイルの内面なんかに興味はなくても、サクサク戦闘したいなら適当に潜って適当に話し合わせてご機嫌取りをしてくる必要がある、というわけです。
 もちろんストーリー(イベント)的にもダイブをしていかないと話が進まないのですが。

 個人的に、ライナーがどうにもイラつく理由はこのダイブ中の態度にもあると思います。*10
 何故かといえば、ダイブ中のライナーは何も考えないでとにかく相手に話を合わせてるだけにしか見えない気がしてならない為です。
 例を挙げてみると、相手から「こんな私のこと嫌いでしょう?」と言われた場合のライナーは、「そんなことない俺は好きだけどな」と脚気の検査レベルの反射っぷりを見せつけてくれます。
 おそらく(ライターの意図としては)ライナーは心の底からの本心を言っているつもり、なのでしょう。しかし彼の言動を何度も何度も見ていくうち、どう見ても後先考えずにその場で思ったことをただ言ってるだけです。本当に(以下略)としか思えなくなってくるのです。不思議なことに。
 そんな数々の不用意としか思えないでもない言葉の数々により、ダイブを進めて行くとやがて彼はエライ目に遭うことになります。*11

 また、ダイブ中のライナーは、ダイブしたレーヴァテイル当人とずっと一緒にいるわけではありません。
 ダイブ直後はライナー一人しかおらず、ダイブしたレーヴァテイルの心の世界でレーヴァテイル当人を探すところから始まるのです。
 つまり当人の心の中にいながらにして、当のレーヴァテイルと向き合っていない時間があるわけです(厳密に言うと違うけど、説明すると長いので割愛)
 そんな、他人の心の中で一人でいる時のライナーはこれでもかと投げやりでめんどくさそうなセリフを吐きます。
 例えば、レーヴァテイルと会った瞬間にイイ顔しては調子のいいことばかりをおぬかしあそばせやがるわりに、彼女と一端別れたとたんに「なんなんだここは…」みたいな疲れたセリフをのうのうとお吐きになりやがられます。
 まあ単にこれは彼の何も考えていない性格からくる言動のようですが。

 そんなわけで「ムスメ調合」というのは、当人の預かり知らぬところで好き勝手やって(るのに何故か)ラブラブになっていくという、とても(自主規制)なギャルゲパートです以上。

PHASE1を越えて

 ということで、正直とっつきにくいと言わざるをえないアルトネリコですが、話を進めて戦闘システムにも慣れてくると「あれ? 実はこれ普通に良作?」と勘違いすることができます(こら)
 何せPHASE1のラストバトルはマジで燃えました。
 いや何が燃えるって、ラストバトルではレーヴァテイルが「ヒュムノス」という特殊な詩魔法を謳うことになるのですが、よし(PHASE1の)ラストバトル行くぜ!ってところでBGMがその詩(前述した、歌姫たちによる挿入歌)になるわけですよ。
 歌の出来は言うまでもない上に、その歌を入れる演出的タイミングが絶妙すぎて燃え死ねます。*12 いやもうこれだけはマジでやられました。
 そうなんです演出はすっげーいいんだよアルトネリコ……!!!!!

 そうして半ば見直した!感動した!の心地でPHASE1が終了。
 しかし奈落の落とし穴はすぐそこにぽっかり空いていたのでした(以下次号)

※以下、微妙に口調が変わってますが気にしないでください。

PHASE2…極端な二択

どう考えても釣り合わない

 ここからオリカたんとミシャたんの各ルートに分岐します。
 分岐する選択肢は以下の通り。

 なんだこの温度差は。

 しかもPHASE1終了時の展開的に、どう見てもミシャたんルートに進むのが正しい人間の在り方です。本当に(以下略)
 そもそもライナーの「エレミアの騎士」という役職の立場から考えても、はっきり言ってミシャたんルートに進むのが妥当です。
 むしろオリカたんルートなんか行こうものならそれなんて職務放棄?
 とにかくどうしようもない主人公のライナーですがそれでも一応は職務には忠実であったはずなので、えっゲーム開始三分の一地点でさっそく主人公人格崩壊の危機?
 そりゃ「恋愛は人を変える」と言うけれどもそれはあまりにも変わりすぎだライナー。

 つーか私のオリカたんへの愛はどうすればいいのですか教えてママン。

オリカルート

 初回プレイはオリカたん一色で進んできた私です、仕方なくまともな思考の主人公という道を捨てオリカたんへの愛に生きることにしました。
 ミシャたんがマジで不憫だった。ごめん、ごめんよミシャたん……!

 さてオリカルート本編についてですが。
 ……正直詳しい内容は記憶にない(えー)
 それぐらいなんかこー、うん、あの、適度にラブラブしたり衝突したりヨリ戻したりする話。
 ていうか個別ルートに入るとさすがにライナーも優柔不断さが薄れてきてですね、オリカたんのことばっかり考えるようになるのですね。
 ってオリカたんしかいないから優柔不断になりようがないのかそうかそうだよな。ふふ……
 終盤なんかもーお前らはどこの熟年夫婦一歩手前だぐらいの勢いで分厚い信頼関係が結ばれてですね、ああいいからお前ら幸せになったれやー!的にニヤニヤしたエールを送れるようにもなります。
 ようやくいつものガストクオリティに触れた気がしましたこの辺りは。

ミシャルート

 1周目の途中のデータをロードしてミシャルートを選んでみました。
 オリカルートやった後だからかもしれないけど何でしょうこのしっくり感。全ての展開がしっくり来すぎててライナーの暴走っぷりもミシャたんへの傾倒っぷりも全てが違和感なく行われてゆきます。そうさガストはやればできる子なんだ!
 こちらもオリカルートと同じく詳細は語りません(=ネタとして語るべきところはあまりない
 普通にラブラブしていって「もうおまえらいいからさっさと結婚しちゃえよ!」みたいな流れになるので、いやこの頃は本当に良かった……(遠い目)

ラブラブEDと寝取られ

 PHASE2のラスボスをぶちのめすと、オリカ/ミシャとのラブラブEDかPHASE3に進むかの選択肢が出ます。
 オリカたんEDはそらもー無駄にラブラヴしまくっているふっつーの蝶あっさりED。例によってガストクオリティここにあり。
 ミシャたんEDも同様。いい最終回だった(ぉ

 アルトネリコをいい思い出のままにしておきたい人はここでプレイを中断した方がいいです。

 という人だけPHASE3に進むことをオススメします。マジで。

PHASE3…真のラスボスは誰だ

殴らせろライナー

 PHASE3の本編が始まって○ボタンを5回くらい押したあたりであれっと首を傾げました。

 私はいつのまに宝玉セーブを使い別の並列世界にきていたのかと。*13

 PHASE2のラストでは、ライナーの上司シュレリア様が自らを犠牲にすることで平和が訪れます。
 そしてPHASE3が始まるなり、ライナーはそのことを疑問に思い始めます。激しく今更ですが。(まあPHASE2のラストは、ライナー達が止める暇もなくシュレリア様が行動起こしちゃったのですけども)
 そこへライナーパパンがいらんことを吹き込みます。実はシュレリア様生きてるぜ寝てるだけで、と。
 しかしシュレリア様を起こしてしまうと、せっかくPAHSE2で倒したラスボスが復活して、世界は再び崩壊の恐怖に怯えなければなりません。

 ライナーは悩むことも迷うこともほとんどないままに、平和な世へ散り散りになっているかつての仲間の元へ出向き事情を話しては、シュレリア様起こしたいんだけど手伝ってくれないかと頼みまくります。それに健気に追従するオリカたん or ミシャたん。*14
 当初は(主に今忙しいという理由で)手伝えないと断った仲間達も、何故か気がつくとライナーの元に再び集まってくるのでした。
 全員が揃ったところで改めて、シュレリア様を起こす方法と、そのリスクを聞かされることになります。

 実はミシャたんの一族は、ラスボスを封じ込めるために一生(文字通りに一生)謳い続けなければならない使命を負っていました。
 ところがPHASE2でシュレリア様が眠ることでラスボスも封じられ、ミシャたんは自由の身となったのです。
 そしてシュレリア様を起こした場合、ミシャたんは再び延々と詩を謳い続けなければならなくなります。

 集まった仲間達と共に、全ての事情を聞かされて理解した*15ライナーは、即断即決一欠片の迷いもなく言い放つのでした。

「ミシャ……謳ってくれないか?」

 なんていうかこんな頭の(自主規制)主人公は初めて見たね(誉め言葉*16

 ちなみにこれはオリカルート経由で来ようともミシャルート経由で来ようとも全く同じ展開が待っています。

 ところで、PHASE2においてライナーは、オリカたん or ミシャたんととにかくラブラブしています。
 どんだけラブラブしているかというと、どう見てもシュレリア様のことなんてすっかり頭から抜け落ちています。本当に(以下略)としか思えなかったぐらいにです。
 そんなライナーが、なにゆえPHASE3に入った直後に「(死んでしまったらしいシュレリア様のことが)忘れられない……」などとおぬかしあそばせやがられるのでしょうか。

 これはもうプレイヤーが預かり知らないところでライナーがシュレリア様に寝取られていたとでも考えない限り話が通りません。

(心はどうあれ体は正直ね。私の体がそんなに恋しい? …ふふ、ライナー…早く私を起こしに来て…)

 どうですか仮にPHASE3の至る所でこんな幻聴がライナーの脳裏に響いていたらあのPHASE3の唐突さかげんも納得できそうな気がしませんか。すればいい。むしろそうだったと言ってくれ。
 でないとマジでライナーをぴぴるぴるぴるぴ(以下略)してしまいたくてなりません(真顔)*17

 シュレリア様を起こした後、色々あってミシャたんは謳うのを止め再び仲間になります。
 また、PHASE2にて蝶ノリノリでぶちのめしたはずのライナーの戦友(元々裏のある奴だった)も何故か仲間になります。
 ていうかこの戦友がまた萌えの子でしてね名前はアヤタネといいますが(ちなみに野郎ですよ)、アヤタネたんはお約束的にライナーにほだされて仲間になるわけです。君を信じてみよう的に。*18

 PHASE3のラストは、PHASE2でぶちのめしたラスボスを(助けたいとか言いながらふっつーに)もう一度派手にぶちのめして*19、PHASE2で選んだレーヴァテイルとラブラブっぽく終了です。

 まあそれも、シュレリア様にダイブさえしなければ、の話ですが。

バーチャルルーム@ナデシコ

 実はシュレリア様もレーヴァテイルだったりするのでダイブ行為が可能です。
 しかもシュレリア様はレーヴァテイルの中でも始祖みたいな存在であり、現代レーヴァテイルっ子のオリカたんやミシャたんとは作りが違っているため、彼女だけはダイブ中にあった出来事も全て覚えています(ダイブのところで例外と言ったのはこのこと)
 オリカたんやミシャたんに行うダイブとは、彼女たちレーヴァテイルの深層心理をひたすら暴き立ててそこから詩魔法を紡ぎ出させる行為であり、そこに現実世界の彼女達の意識はありません。*20

 また、ダイブという行為ははるか昔からあったらしいのですが、昔はなんと娯楽として行われていた行為とのこと。いわゆるナデシコのバーチャルルームのような感じだったようです。

 そんなシュレリア様ダイブは、開始直後に注意書きが出ます。
 「本編とは一切関係ありません」、と。
 実際、内容的にも本気で関係ありません。ひたすら仮想世界で蝶ベッタベタな魔法少女ねたをやらかすだけです。
 また、シュレリア様もダイブし続けることで、オリカたんやミシャたんのように新たな詩魔法をゲットすることができます。
 ただしシュレリア様は最初から最強詩魔法アルトネリコ*21を使える*22為、正直無理してまで*23ダイブする必要があるのかといえばないようなあるようなないようn(以下略)

 そんな感じでシュレリア様に最後までダイブをイタしますと*24、エンディング時に選択肢が出現します。
 これにて、PHASE2で選んだ娘とシュレリア様との二択ができるようになります。二択の結果はスタッフロール後のエピローグにて反映されます。

 このエピローグ、……まあミシャルートはそうでもないんですが、オリカルートはなんというか……あの……

結末はスリル、ショック、サスペンス

 あ…ありのまま 今 起こった事(PHASE3オリカエンド)を話すぜ!

 エピローグにて、ライナーとオリカたんは二人で仲睦まじくラブラブ暮らしておりました。
 そこに一人の訪問客が。ぼくらの寝取りクイーンシュレリア様です。
 突然の登場に驚くラブラブカップル。
 そして彼女は呟きます。

 「幸せそうね……」

 そのまま画面暗転、「END」の一枚絵でゲーム終了。

 な… 何を言ってるのか わからねーと思うが
 おれも 何をされたのか わからなかった…
 頭がどうにかなりそうだった…
 催眠術だとか超スピードだとかそんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
 もっと恐ろしいものの 片鱗を味わったぜ…*25

 も、もうね、何ですかおまちょっ、どう見てもシュレリア様はナイフ持参です。本当に(以下略)としか見えないんですけど私だけですかうふふあはは!
 こんなサスペンスが待ってるなんて誰が思おうか。いやマジで面白!すぎだアルトネリコ。最後にこんなネタを仕込むなんて誰が予想できただろう(笑)*26

 ちなみにシュレリア様を選ぶと、一人で暮らす(PHASE2で選んだ)ヒロインの元にどの面下げてだかライナーとシュレリア様がやってきて「お久しぶりね……」で暗転します。
 えっ何ですかシュレリア様やっぱ邪魔者は全て排除しないと気が済みませんか。
 ところで確実にライナーは調教済みだよなアレ! はっそれはつまりムスメ調合ならぬムスk(自主規制)

まとめ(と蛇足)

といっても8割ぐらいは良作なんだ普通に

 とまあここまでこき下ろ……じゃなかった素直な心地を述べ連ねてきたわけですが、全体的に見ると普通に良作なんだよなあこのゲーム。
 むしろ8割良作だからこそ残り2割のアレな部分が突出して見えてしまったと言うべきかもしれない。とか思ってみる。

 世界観、各種設定、キャラクター、本当によく練られてると思います。文字体系(ヒュムノスワード)まで作ってあるし、公式でそのヒュムノス文字フォントがダウンロードできるし、ヒュムノスワード検索システムまで作ってあって、もうファンサービスとしては至れり尽せりだと思いますよマジで。二次創作なり同人誌なり、結構ソレっぽいのが作れそうだし。

 というか私最初にプレイしたとき、「オリカたんとミシャのコスモスフィアの成長過程」にちょっとビックリしたのですね。
 そもそもネタゲーとして始めていましたし、なんかアレな話しか聞いてなかったからどんな逝かれた内容なのかと思っていたら(こら)、あれなんか普通によく考えられてんじゃね? と一人でオロオロさせられたものです(何)
 前情報(主にネタっぷりの)と比べたら本当に意外なほどよく出来ていました。
 ダイブするレベルが深くなるにつれて彼女達の内面が暴露され、トラウマだの葛藤だのを巻き込んでヘンタイ……じゃなかったタイヘンなことになりながら、最終的に落ち着いた心理状態まで取り戻す様はちょっとやられたと思いました。

 あとPHASE1のラストで、ホワイトアウトする中で呟くオリカたん or ミシャたんのセリフとかぐっときましたね。
 それぞれ言っている内容も、その言葉が持つ意味も全く違うものだけれど、ああここでこんなこと言わせるんだ、という演出的タイミングは本当に上手かったと思います。
 あからさまに狙いすぎな面もあるにはありましたけども、(ついうっかり)素直に感銘を受けてしまう何かがあるのですこのゲームには。

 演出といえば音楽挿入のタイミングは特に鬼のようだと思います。
 PHASE1のオリカたん or ミシャたんうぃずパージャでのラストバトルは本気でやばかったですよあれ。あんな燃える戦闘は久々でした。
 というかあのパージャ戦は、他人がプレイしてるのを横で見てるのと、実際に自分でプレイするのとじゃ全然違うので、もし気になった人は自分で体験していただきたいところです。
 というのも先日友人がパージャ戦をプレイしているのを見ていたときに、「あれなんか燃え度が足らない?」と感じまして。
 そのときは単にパージャ戦を見るのが2回目だからそう感じたんだろうと思っていたんですが、その後レビュー書くのにちょっとやり直したら普通に燃え盛ったので、どうやらアレは自分でやらないとダメらしいです(いや私だけかもしれませんが) とにかく燃え!

 ……とまあ、良質な点は挙げる気になればそれなりに列挙できるゲームなのです。*27
 それだけに、あんな(自主規制)なシナリオ演出やら展開やらのおかげで、キャラ関係やら話の流れが破綻しまくって最終的に(ストーリーに納得がいかない)クソゲーと認定する以外に道が見つけられなかったことが、私は口惜しくてならなかったわけです。

ここから蛇足。

※好き勝手言ってます。ってこれまでもそうですかそうですねすいません。

 プレイしてみて何より不満だったのはPHASE3のライナーの変貌ぶりでした。いや確かにライナー当人ではあるのでしょうが、突然の変貌にプレイヤーは置いてけぼり感を否めないでしょう。
 なんたってPHASE2とPHASE3におけるライナーの思考回路には明らかに大幅な変革が起きているのに、その変革の理由を私たちプレイヤーは一切知らされることのないままゲームが進んでいくのです。
 PHASE2まで作り上げてきた全てを豪快になぎ倒しながら進んでいくPHASE3。ようやく(アレな性格の)主人公に共感を持てそうになっていた我々プレイヤーに対する裏切りとゆーか宣戦布告なのかと思いましたよ。

 ライターの中の人は「パートナーとの愛、絆」を一番に描きたかったそうですが、確かにそれはPHASE2までの流れでしっかりと描かれていると思います。だから彼(ら製作スタッフ)のやりたいことは確かに完遂されているのでしょう。

 だがしかし、脳内結婚式まで挙げるようなラブラブカップルにまで成長した二人を描いておきながら、次の章に入った瞬間、パートナーは二の次で別の女の復活に命をかけ始める主人公というのもどうなのでしょう。
 しかもルートによってはその女の復活のために、これまで愛とか絆とかをしっかり育んできたパートナーをあっさり切り捨てる始末。どのへんが愛で絆なのか本当に誰か私に教えてください。
 それとも愛で結ばれたライナーになら何をされてもいいとかいうそういう盲目的な絆を描きたかったんでしょうか。だったら何故ミシャたんは、ライナーに即断即決で切り捨てられた際ライナーに向かって怒鳴ったのでしょうか。
 愛の強さを見せたいのであればそこは「うんライナーがそうしたいならそれでいいよあたしはどうなってもかまわないライナーのためなら」とでも機械人形みたいに言わせておけばよかったのではないでしょうか。
 どちらにしてもライナーが最悪なことに変わりがないあたりが笑えますが。わたし、もう笑えないよ……(ぉ

 ではどうしたらアルトネリコは良作のまま終われたのでしょう。
 まあ普通に考えれば、PHASE2で終わるかシュレリア様ルートを個別で作るかで問題解決という気がします。

 そもそもPHASE3は(世界の平和のために自らを犠牲にした)シュレリア様を復活させ、たーい!(電波少年風)という、まあその気持ちはわからんでもないんだけどそこに至るまでのライナーの思考とか葛藤とかがろくすっぽ描かれてないおかげで、ライナーが理由もなく唐突に心変わりしたとしか思えないんですよねえ。*28
 これまでシュレリア様のことなんかろくすっぽ気にしてなかった奴が唐突にシュレリア様シュレリア様言い出すからおかしなことになると思うのです。であれば最初からシュレリア様一筋のライナー(のルート)を作っておけばよかったのではないでしょうか。
 なにゆえシュレリア様へ到達するのにまず他の女との愛を育まねばならんのか、その辺がどうにも理解も納得もできませんでした。*29
 逆に、「(他の人と)愛を育んでおかないとシュレリア様とは恋愛できない」とかそういう特殊設定でもあれば納得したんですけど。例えば*28のような(笑)

 以上、だらだら長くなりましたがアルトネリコねたレビューでした。
 ここまでお付き合いしてくださった方に感謝を。また不愉快な思いをさせてしまった方には大変申し訳ありません。
 ですが、これが私がこのゲームをプレイして思ったり感じたりしたことです。公式のアンケートにもこのような方向性のことを書いて送らせてもらいました。
 もし続編があるのだとしたら、アンケートの内容が反映された良ゲーになっていることを祈りつつ。