あのひとがいなくなってから一年と数ヶ月が過ぎた。
 季節は寒々しい冬から麗らかな春へと変わりつつある。


 うたたねから目覚めると外は雨が振り出していた。窓を開けて具合をみる。
 春の雨は思いのほか冷たく――否応でも、あの雨の日の、暖かなそれを思い出す。





 学校からの帰り道、改札を出たところで、足を止める。
「結構、降ってたんだ」
 小雨が降り続く地面には既に水たまりができ始めている。車窓から見た分には霧雨程度にしか思えなかったのに。
 今朝の天気予報を見ておいてよかった、と鞄から折りたたみの傘を取り出す。ぱちん、とそれを開き、肩にかけるようにして駅を出た。
 ぱらぱらと傘にあたる雨粒の音。小気味良いそれに気をよくしながら歩く。と――
「あれ?」
 だんだんと強くなる雨の中、道の端に一人の男性が突っ立っていた。目深にかぶった帽子でどんな表情をしているのかはわからないが、それが誰であるかはわかる。遠目で一度見るだけで十分だった。
「――丈二さん?」
 それでも、少しだけ気後れしてそのひとの名前を呼ぶ。
 雨音に消されて聞こえないのか彼は反応を返さなかった。私は一瞬だけ躊躇して、結局小走りで駆け寄っていく。
 本当は誰かを見張っているとか調べてるとか、そういう最中だったらどうしようと思ったけれど、だったら私なんかに声をかけられちゃうような――もっと「それらしく」してないのが悪いんだわと決め付けて、彼の元へ辿り着く。
「丈二さん、何してるの――って、ずぶ濡れじゃない!」
 彼の惨状はそれは酷いもので、服は濡れて色が濃くなっていた。前髪やコートの袖から滴が落ちたりもして、まるで服を着たままシャワーを浴びたようだった。
「ん、ああ……美雪ちゃんか。どうした?」
「どうしたもこうしたも、それはこっちのセリフよ。この雨の中何やってるの、傘もささないで」
 寄り添って傘を傾けながら、ハンカチを出そうとする。が、片手でうまく鞄を開けられない。
「丈二さん、これ持ってて」
 言ってコバルトブルーの傘を押し付けると、急いで鞄の中を漁る。あっさりと見つかったハンカチでぼんやりしている彼の顔を拭った。
「……どうも」
 声と共に差し出された大きな手に、目線でその意図を理解してハンカチを渡す。代わりにありがと、と傘を受け取った。
「どういたしまして。それより、どうしたの丈二さん」
「ん?」
「だから、何か用事があってここに立ってたんじゃないの?」
「ああ……まあ、ヤボ用みたいなもんかな」
「傘もささないで」
「出てくる時には降ってなかったんでね」
「天気予報、見なかったの?」
「時間の感覚、置いてきちまったからな……」
 そう言って丈二さんは私から目をそらして、さっきまで見ていた方に視線を戻してしまう。
(いつもはぐらかすんだから)
 ぷう、と膨らます私の頬にも気付いてくれない。
「……そのヤボ用って、もう終わったの?」
「どうかな……そうとも言えるし、そうでないとも言える」
「どっちでもないってこと?」
 丈二さんは答えない。『沈黙は肯定なり』、とどこかの格言だか言い回しだかを思いながら、
「なら、行きましょ丈二さん」
 強引に腕をからめて一歩を踏み出した。それでも、丈二さんは体勢を崩さない。
「おいおい……」
 困り顔に苦笑を貼り付けた丈二さんが、ようやく顔を向けてくれた。
「だって。その程度の用事に比べたら、今の丈二さんの状態の方がよっぽど重要よ」
「俺の、状態?」
「ええ。そのままじゃ風邪ひいちゃうわ。うちに行きましょ。お風呂入らなきゃ」
「……いいよ」
「だーめ」
 ぐいぐいと引っ張りつづけているとようやく、体の向きだけは変えてくれた。もう一度強く引いて初めの一歩を踏み出させる。
「ほら、行きましょ」
 まだ引っ張る形で数歩進む。
「いや……ほら、ここからなら荒鬼館の方が近いし」
 諦めの悪い彼は思いつきよろしく、そんな風に言ってくる。でも足はゆっくりと前に進めてくれていた。
「だめ。私は早く家に帰りたいの」
「俺の都合は?」
「丈二さんのヤボ用より、私が家に早く帰りたいことの方が重要」
 じ・ゅ・う・よ・う、の部分を韻を踏むように発音して、ねっ、と笑顔を向ける。少しして、丈二さんは小さく息を吐き出した。
「しょうがないな……じゃあ、送るよ。家まで」
 そして大きな手が私の手を絡め取ったかと思うと、頬を染める間もなくあっさり傘が取り上げられた。
 触れた指先に一人でどきどきしてしまったのが悔しいやら惜しいやら情けないやらで、私は「だめよちゃんとお風呂も入ってもらいますからね」と早口で念を押す。
 丈二さんは僅かに微笑んで、傘を動かし私を促す。うんと言うつもりはないらしい。
 私だって絶対に引くつもりはなかった。一歩踏み出し傘の中に納まると、にこり――戦線布告の笑顔を返す。

 そうして私達は歩き出した。


 灰色の世界に一人で浮いたコバルトブルー。
 そこに二人で入りながら、今日は折りたたみの小さな傘にして良かったと思わずにいられなかった。





 十数分ほどすると、家へと辿り着いてしまった。
(もう少し家が遠かったらよかったのに)
 でもそんなことになったら本当に丈二さんが風邪をひいてしまうかもしれない、だったら私が看病してあげるってのもいいかも――なんて思いを巡らせていると、
「じゃ、俺はこれで」
 低めのテノールに顔を上げる。
 いつの間にか私の手に傘を移した丈二さんが体を離したところだった。
「丈二さん! 風邪ひいちゃうでしょ、ほら早く入って」
「美雪ちゃん、俺なら大丈夫だからさ」
「だめっ」
 帰ろうとする彼の背に回りこんで、家の方向へと押し出す。ととっ、とつんのめるように丈二さんが前進した。門をくぐる。
 その途端、無神経な怒声が響いた。
「丈二! お前何しに来やがった!」
 どやどやと見覚えのある顔ぶれが4人ほど押し寄せてくる。んもう、何も雨の日まで外で突っ立って見回りなんかしなくていいのに。
「ちょっとあなたたち!」
 急いで丈二さんの前に出る。逃げられないようにちゃんとコートの裾は掴んだままで。
「今日、丈二さんは私のお客様なの。失礼なんかしたら承知しないから!」
「し、しかしお嬢さん――」
「聞こえなかったの? いいからもう戻って。風邪ひいちゃうじゃない」
「は、はあ……」
 しっしっ、とジェスチャーをして、玄関までの道を開けさせた。丈二さんに目配せして歩き出す。
「悪いな」
 丈二さんの挨拶に、彼らの歯軋りが聞こえた気がした。





「はいこれタオル。シャワーとか、だいたい使い方わかるわよね? 着替えはあとで持ってくるから」
「あ、ああ……どうも」
「ちゃんと肩までつかって100数えてね。それと服、乾燥機にかけとくからそこの籠に入れておいて」
「あのさ、そこまでしてもらわなくても」
「だーめ。風邪ひいちゃったらさっきのヤボ用も続けられないでしょ? じゃあごゆっくり」
 お風呂場のドアを閉めかけて、振り返る。
「ねえ丈二さん。背中流してあげようか?」
「いいよ。間に合ってる」
 軽く手を上げ、こちらに背を向けたままシャツを脱ぎ始めた丈二さんに、私は急いでドアを閉めるしかできなかった。



「ええっと……確かこの辺りにパパのシャツがあったと思うんだけど……あ、あった」
 急いで制服から着替えた私は、パパの部屋に来ていた。
 タンスをいくつか開けて、まだ新品のシャツを見つけ出す。
 ズボンはさっきパパが若い頃に着ていたらしいのを見つけたからそれで我慢してもらうとして。
「下着、どうしよう……」
 少し考えて、やはり新品のパパのを持っていくことにした。



 そっとお風呂場のドアを開ける。
 鼻歌でも歌ってないかしらと思ったけど、丈二さんは静かに湯船につかっているだけのようだった。
「丈二さん? 着替え、ここに置いておくね」
「ああ。ありがとう」
「うふふ。あ、お湯かげん、どう?」
「十分だ」
「良かった。ちゃんと肩までつかってね」
「百まで数えるよ」
 くすりと笑って、私は丈二さんの服を乾燥機に入れていく。スイッチを入れて、あがったら居間に来てねと伝えて脱衣所を出る。
 さあ、次はお茶の用意。



「あ……買い置きなかったんだっけ」
 開けてみた紅茶缶は茶葉が少ししか残っていなかった。これじゃ淹れられても一杯になるかならないか。何より味が落ちてしまう。
「玉露でいいかな」
 マグカップを仕舞い、代わりに急須と湯のみを取り出す。
「美雪ちゃん」
「きゃあっ」
 気配もなくかけられた声に私はびくりと肩を跳ね上げた。振り向くと、ばつの悪そうな顔の丈二さんが立っている。
「……驚かすつもりは、なかったんだけどな」
「いいの、私が大げさに驚いちゃっただけだから……百数えた?」
「数えたよ。いいお湯だった。それと、これ……」
 言って、丈二さんは自分を見下ろした。
 シャツは新品だからいいとして、若かりしパパのスラックスは丈二さんには短かったみたいで、節ばった足首がのぞいている。
「パパの若い頃のなんだけど、やっぱり丈は合わなかったね。ごめんなさい、それしかなくって」
「構わないよ。悪いな、本当に」
「それこそ構わないわ。じゃあ、そっち座って待ってて。今お茶いれるから」
 また繰り返そうとする遠慮の言葉を視線で制すると、代わりに丈二さんは苦笑した。肩をすくめて居間のソファに腰掛ける。
 一度湯のみを温めて、それからよく蒸らしたお茶を入れる。こういうのをちゃんと仕付けてくれたママにちょっとだけ感謝。
「お待たせしました」
 丈二さんの前に湯のみを置く。すぐ側に私の分も置いて、座った。
「どうも」
 躊躇無く手を伸ばして、一口。
「結構なお手前で」
「いえいえ」
 私も一口。……ん、いい感じ。
「服、乾くまでもうちょっとかかると思うから」
 言いながら、何だか言い訳をしてる気分になってくる。なのに、丈二さんはぼんやりと壁にかかった絵を見ているようだった。
 直視されるのも落ち着かないけど、見てもらえてないのも癪で――もじもじと言葉を続ける。
「今、パパもママもいないから、ゆっくりしてていいし」
「二人とも、いないのか?」
 案の定、丈二さんは私に顔を向けた。その真摯な目は多分、別な何かを考えてのことだろうけど……。
「うん。二人で病院に行ってるんだと思うの。こういう時って、いつも夕方過ぎまで帰らないから……」
 どことない気恥ずかしさで窓の外に目をやる。どんよりした空は相変わらずで、窓の端にのぞくのは見回りの人達。
(……本当に、気が削がれちゃうわ)
 私の表情が曇ったのを感じたのか、丈二さんも窓の外を見やる。
「ああ、それで奴らが突っ立ってるってわけか」
「多分ね。もう、パパったら気が利かないんだから」
「気が、利かない?」
「え――あ、ああ、こっちの話よ。うふふ」
 丈二さんてば、どうしてこういうところだけ鋭いのかしら。もう。
 間を取りつくろうとしてお茶を飲む。しかしそれが失敗だったのか、会話が途切れてしまった。
 ええと、話題話題話題……。
「美雪ちゃん」
「な、なあに?」
 わずかに照れた表情の丈二さんが湯飲みを差し出している。
「もう一杯、もらってもいいかな」
「……もちろんよ。何杯だってご馳走するわ」
 笑顔で受け取り、台所へ取って返す。軽くすすいでから、また湯のみを温めて、茶葉を蒸らして……と。
(はあ……もうちょっと何か話してくれてもいいのに)
 そりゃあ確かに、用事があったところを無理やり引っ張ってきたのはこっちだけれど。
 台所に居るうちにため息をつき終えて居間へと戻る。
「お待たせ……丈二さん?」
 ソファには誰も居なかった。視線をずらしてすぐ、窓辺で外を眺めている探し人が見つかる。
「どうしたの?」
 テーブルにお茶を置いて、丈二さんの隣に立つ。一度顔を見上げてから、反応がないので私もその視線を追った。
 何もない。普通に、うちの庭が見えるだけ。晴れてれば山の方まで見えただろうけど、この天気では薄灰色のもやしか見えない。
「丈二さん?」
 再度呼びかけると丈二さんはゆっくりと顔をこちらに向けた。
「……?」
 言葉に出さず小首を傾げるジェスチャーで、どうしたの?と訊ねる。
「……」
 丈二さんはふるふると首を横に振った。何でもない、ということらしい。そのままソファへ戻っていく。
 仕方なく私も従った。
「……どうぞ」
 無言で座ったままの彼に、先ほど淹れてきた湯のみを前に押しやる。
「どうも」
 ずず、とお茶を飲む丈二さん。そして――やっぱり無言。
「……ねえ丈二さん!」
 必死で張り上げた声に返ってきたのは軽い視線だけ。それでもめげずに、努めて明るく言った。
「ね、覚えてる? あの木のこと」
「木?」
「そう! おまじないって、リボン結んだでしょ? あの木」
「……ああ。あの木ね」
「今度、見に行かない?」
「木を?」
「そう。ほら、ちゃんとリボン残ってるかなとか、それがちょっと心配かな、とか。……効果、薄れてないかな、とか……」
 最後を尻すぼみにしながら、上目遣いで彼に視線を送る。丈二さんはぽかんとした感じで、私を見ている。
 ……ああ、やっぱりわかってくれてないみたい。それともポーカーフェイスってやつだったりする?
 でもやっぱり、だとしたらちょっと酷い。わかっててとぼけるなんて。
「私はこんなに必死なのに……」
「必死?」
「あ」
 気持ちが昂ぶって思わず口に出してしまっていた。慌てて口元を覆い、何でもないのと笑ってごまかす。
「? ……お、雨あがったな」
「え?」
 そんな、まだ早すぎる――と思った瞬間、ピー、と味気ない電子音が聞こえた。
「あれ、何の音?」
「……乾燥機の、終わった音」



 何てあっさりとした終幕。
 それじゃ俺はヤボ用に戻らなきゃな、と丈二さんが立ち上がる。
 さすがにこれ以上引き止めるのは気が引けた。丈二さんもうんとは言ってくれなさそうだし。

 着替えた丈二さんは色々ありがとうお茶ごちそうさんと告げて、それこそあっさりと帰ってしまった。
 それを一番の笑顔で見送って、閉まった玄関を前に大きくため息。
「丈二さんの、ばかっ」
 もう少しだけ一緒に居たかったのに。
 何か最近うちの中がバタバタしてきて、パパは変に気難しくなって、ママの体調も良くないままで、これじゃ気が滅入る一方で。
 私だってもう高校生なんだし、いつまでも甘えたことばかり言ってられない。けれど、……やっぱり何かに縋っていたい。
 今すぐ押しつぶされるわけじゃないけど、いつかやってくる無慈悲な凶器の存在を確信しているような――そんな、漠然とした不安。
 丈二さんと居る時はそれを感じずに済むのに。
「……でも、また会える……かな。会える、よね」
 丈二さんはまだこの鬼無宿にいる。この小さな町のどこかに居るなら、探し出せないこともない。探すあてだっていくつかある。
 第一、宿泊先を知っているのだった、私は。
「今度、お弁当でも作って行こうかな……」
 口に出してみる。――うん、それがいい。何か物凄くそれがいい気がしてきた。
「よーし。おかず何にするか決めとかないと」
 確か料理の本はママの本棚にあったはず。そう思って、私はうきうきしながら玄関から移動した。






*****





(――結局、丈二さんには食べてもらえなかったのよね)
 一人苦笑して、ぱらぱらと窓に当たる雨粒を目で追う。
 あの後はもう色々ありすぎて……思い出したくない。思い出そうとすると背筋が震える。
 実際、丈二さんがいなくなってから、私は軽いノイローゼになってお医者にかかっていたのだ。今はもうだいぶ落ち着いたけれど、あまり過去は思い出さないようにしている。
(でも、忘れたことなんてないの……丈二さんのことだけは)
 丈二さんがいたからこそ、今私はこうして生きて、ここに居るのだろうし。
 それは同時に、丈二さんが居たおかげで、私はここに居ることになった、ということでもある。
(後悔……は、したけど。でも、私は丈二さんのこと恨んだり、嫌いになったりなんかしてない)
 強くなる雨脚を感じながら、そっと頭のリボンに手を伸ばす。触れるたびにあのときの情景が蘇る。それと髪は、揃えるのに一度切ったきりで、伸ばしたままだった。
「ほどいたのは、また一緒におまじないしてもらうためだもの」
 リボンは他にも持っていたけれど、今はこれ以外使うつもりはなかった。次に会えた時に、すぐにおまじないできるように。
 もう一度、このリボンで。
「丈二さん……」

 私は今でも、あなたのことが好きでいます。





*****





「なあ、これなんだけどよ」
 昼下がりの鬼無宿郵便局。
 一通の茶封筒を見ながら、局員の浅田は同僚に話しかけた。彼は差し出されたそれを受け取り、宛名を見る。
「何だ……局留めか。もう一週間過ぎてるから、返送だな」
「だけどよ、裏」
 言われて裏返したそこには、何も記名されていない。
「ったく、困るんだよなあ、こういうのが」
「その宛先。あの田野倉んとこの娘じゃないのか?」
「え?」
 彼はもう一度封筒を裏返して、宛名を読み上げた。
「田野倉美雪様……ああ、そうだそうだ。今一人暮らししてんじゃなかったっけか? ――はっはあ……なるほど」
 彼はしたり顔でふんふんと頷いた。浅田はわけがわからず問い返す。
「何だよ」
「ほら。田野倉んとこ、何やかやで持ってかれちまっただろうが。家燃えちまって、残った土地やら何やらが」
「ああ」
「大方これはさ、あの騒動で引っ越してった友達か何かが、それ聞いて連絡取ろうにも引越し先がわからねえで……仕方ねえんでここに送ってきたってとこだろ」
「そういうことか。……にしちゃあずいぶん達筆な気もすっが」
「これだろ?」
 と、同僚は親指を立ててみせる。
「ああ……それで周りに気取られないよう名無しのまま送ってきたと。筆跡で全部わかるってか?」
「ちげえねえ」
 言ってひとしきり笑いあったあと、浅田は封筒を取り上げた。仕分け箱の方へ戻りながら、
「じゃあ、今日の集配ん時にでも持ってっとくわ」
「おお、よろしくな」
 と、ふと思いついて、言ってみる。
「さしずめ、俺は『恋のきゅーぴっど』って奴かね?」
「ははは、お前のその面で何言ってやがる」



 その封書の消印は、東京の郵便局のものが捺されていた。






 こんなこと書いといてアレですが、例の5話(リボン結びの回)を見たことがなかったり。見てたらまた違った話になってた可能性も。
 ともあれハメて下さった張本人様にひっそり捧げます。
 つーかその方くらいしかこの話わかってもらえない気も(泣) マイナーマイナーの辛い所ですな。しょんぼり。

(2004/06/13 up)

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