その気配はいつだって無用心で何も隠そうとしていなくて、なおかつ常時側に居るものだから、離れていたそれが近づいてくるのはすぐに感知することができた。
 あとほんの少し。時間にして十秒ほどで、自分は名前を呼ばれるのだろう。

 彼女を感じる前から閉じたままの目を開けることなく、俺はただその時を待った。









「カタナ」

 控えめの声量が耳に届く。
 それは、毛布をかぶり横になっている自分を無闇に起こさないための配慮なのだろう。呼んだ時点で起こすことになる気はするが。
「……何だ」
 薄暗い部屋に目が慣れぬまま、僅かに体を起こす。
 入り口と自分とのちょうど真中あたりに立っているのはもちろんサユリだった。腕にはいつものぬいぐるみの代わりに、枕を抱きしめている。
 ぬいぐるみは今、こちらの枕元にあった。おそらく、昼寝をしてそのままなのだろう。
「いっしょにねてもいい?」
「……好きにしろ」
 うん、と笑顔で頷いてからサユリはとてとてと近づいてきた。
 体の位置をずらし、毛布の中で腕を上げて隙間を作ってやる。ベッドサイドまで来たサユリから抱えていた枕を抜き取ると、自分のそれの隣に置いた。
 サユリが潜り込んでから腕を下ろし、起こしていた体も横にする。
「んしょ」
 毛布からサユリの頭が飛び出して、自分用の枕にぽすんと頭を置いた。そうして、同じく枕に頭を預けた自分を見つめてくる。
「おやすみ、カタナ」
「ああ」
 自然――サユリを囲うように腕を置いた。
 もう少し力を入れれば抱きすくめる形になるが、それでは彼女が寝づらいだろうし、力の加減ができなくなる可能性もある。
 第一、こうしているだけで腕の中は暖かく、ひどく心が落ち着くのだから。跳ね上がる心臓の音を抜きにすれば、だが。
 息を吐き出しながら目を閉じた。無くした視覚の代わりに、残る感覚が鋭敏になる。

 耳にはちいさな呼気の音。
 鼻にはふわりと石鹸の匂い。
 舌にはさすがに何もないが、飲み込んだ唾液に苦いものが混じった気がした。
 そして皮膚――腕の中には、微かに身動ぎするサユリを感じる。

 そう、それだけで十分なのだ。
 サユリが自分の側に居る。
 それだけでこんなにも胸は一杯になる。何が貯まっているのかはよくわからない。貯まりすぎて苦しくなるときもあるが、満たされているのは確かだった。

「……カタナ」

 眠ったと思った声は、殊更小声で自分を呼んだ。
 この距離で名を呼ばれたなら、どんなに音量を絞っても気がつくだろう。
「どうした、サユリ」
 呼びかけに、サユリはもぞもぞと首を上向かせる。薄暗い中でしっかりと目が合った。
(……?)
 目が薄闇に慣れていないせいだろうか、彼女の頬が妙に赤い気がした。まさか熱でもあるのかと顔を近づけて、
「……なにも、しないの?」
 瞬間、何を言われたのか理解ができない。
 疑問を言い終え薄く開いたままの小さな唇が目について、思考を放棄して見つめていると、まるでそれを――回答以外の行為を――拒否するように閉じられる。それを合図に、真っ白だった脳内に色が戻った。
 何もしないのか――サユリはそう聞いてきた。
 主語は自分のことだろう。補うならば、「俺は何もしないのか」ということだ。
 では今の自分がしていない「する」こととは、何か。
(……)
 落ち着いて思考を開始したはずなのだが、何故か眩暈がする。何をどうしても、一番最初に思い当たった事象を、全ての状況が指し示している。
 くらくらする何かに絶えられず一度目を閉じて、ゆっくりと開いた。
「……」
 眼前に置かれた赤く染まった頬。
 微妙にその焦点をずらされている、潤んだ瞳。
 見間違いではないそれが全ての答えだと――しばしの逡巡を置いてようやく――認めることができた。
 ふ、と勝手に口元が笑う。
「して欲しいのか?」
 先刻まで小さな体を囲っていた手を、前髪を持ち上げるようにして額にあてる。身体異常の熱はないようだ。そのまま手を下方へ滑らせ、頬を伝い顎のラインを指でなぞる。
 くすぐったそうに瞳を閉じたり開いたりしながら、サユリはぽそぽそと答えた。
「う……ん、ううん……」
 それは一体どちらなのか判断のつかない答えで。
 目を見て判断しようと覗き込もうとして、さりげなく俯いたサユリの耳が頬よりも赤いのが見て取れた。
「そうだな」
 すぐ側にあった髪の毛を一房掴み、唇で触れる。そうして閉じていた目を開けると、上目遣いの大きな瞳とかち合った。
 ぴくり――左の目元が痙攣するのを自覚しながら、告げてやる。
「お前がして欲しいなら、いくらでもしてやるさ」





 有無を言わせず口付けて、サユリの小さな咥内を蹂躙する。
 逃げる間も与えず絡め取った舌は少しずつ能動的な動きを見せ始め、肺活量の違いを忘れそうになる。
「……ぅ、ん……」
 やがて僅かな反応すらも返らなくなって、急いで唇を解放した。
「っは……ぁこほっ、けほけほっ」
「大丈夫か、サユリ」
 涙目になりながらうん、と頷く。目元に滲んだそれを唇で吸い取って、頬にも幾度か押し付けて、耳元で悪かった、と呟く。
 耳たぶに吹きかかった吐息がくすぐったかったのか、サユリはぴくんと体を震わせた。かすれた声がカタナ、と自分を呼ぶ。
「サユリ、もうだいじょうぶ」
 頬は赤いまま笑顔を見せるサユリの、瞼のそれぞれに唇を落とす。やがてゆるゆると開いた目の前に人差し指を見せて――もう一度教えてやることにした。
「サユリ。前にも言ったはずだが」
 人差し指を鼻の上に置く。
「苦しくなったら、ここで息をしろ」
「ん……うまく、できないの。むずかしいんだもん」
「なら、うまくなるまで練習すればいい」
 サユリが頷くのを待ってから、今度はゆっくりと唇を重ねる。
 そのまま薄い唇の感触を確かめていると、僅かに閉じた扉が開いた。おそらくは酸素を求めての動きだったのだろうが、口で呼吸させては練習にならないだろう。再度そこに侵入する。
「ん、……っ、んく」
 しばしくぐもった声が続いたが、サユリは一向に練習を始めようとしない。重なりあった顔に指を滑り込ませ、ちいさな鼻をつついてやった。
「ふ、んふ……っ、ふ」
 咥内で起こる水音に重なるように、サユリは鼻による呼吸を開始する。
 鼻だけで呼吸するのに慣れないのは本当のようで、その度に歯が閉じかかる。こちらの舌に歯が触れると慌てて戻っていくが、またすぐに閉じようとする。おそらくは、この制御が「難しい」というのだろう。
 噛まないようにしようと思うからいけないのだ――と言っても聞きはしないだろうが。
 サユリが思いっきり噛んだところで千切れはしないだろうし、もし千切れてしまってもそれはそれで構わないと思う自分がここに居るのだから。
 何の問題もない。だから心置きなく練習するといい。
 そんな意思を伝えるようにさらに舌を絡め、動きを捉え、二つのそれを溶け合わせる。
 吹きかかるサユリの呼気は熱く、少しずつ少しずつ、思考が麻痺していく。
「んく……は、っん、ふ、んん――」
 咥内の唾液を舌を介して伝わせて、喉の奥へと誘導した。自身の唾液と混ざったそれを、サユリが苦しそうに嚥下する――
「っぷは、っは、は……ぁ」
 引きかけた糸をあっさり断ち切ると、頬を伝い今度は首筋へと移動しようとして、タートルネックの襟元に気付いた。脱がす方が先か、と判断してサユリの体を起こさせ、自分も半身を起こす。上着を脱がさせて、ばんざいしろと伝えてシャツを抜き取った。
 タンクトップだけになったサユリを引き寄せる。サユリはなすがまま、こちらの膝の上に乗る感じになった。
「サユリ」
 肩口にかかった金髪を軽くよけて唇を寄せる。
「っん」
 柔らかな肌をきつく吸い上げると、サユリはぴくりと身動ぎした。そこから断続的にぷるぷると体を震わせたまま、こちらの行為を甘んじて受けている。
 ――こういうときだ。サユリを抱き潰してしまいたくなるのは。
「……」
 しばしの葛藤のあと、ゆっくりとそこから離れる。
 薄暗い中ではわかりにくかったが、患部が赤く、わずかに腫れているのが見て取れた。ぴくり――左頬が痙攣した気がした。
「カタナ、またあとつけたの?」
「ああ。付けた」
 ここだ、とやはり指で示してやると、サユリはくすぐったそうに体を震わせる。
 そのまま患部の輪郭をなぞるようにして肌の感触を味わっていると、サユリの手が伸びてきた。
「ここ?」
「そうだ」
 赤くなった患部を押さえるサユリの指の上に、自身のそれを重ねる。正確な位置を探すようにうろうろする指をそっと押さえ、導いてやった。
「かがみがないとみえないね」
「後で見ればいい。明日の朝ならまだ残ってるだろうからな」
 だがもしものことを考えて、今度は逆側の首筋へ、同じように痕を残した。





「カタナはぬがないの?」
 それからしばらく「練習」を繰り返した後、ぼんやりと顔を上気させ、サユリは言った。
 言われて――自分は普段の格好とそれほど変わっていないことに気付く。
 この場所はさほど冷えるわけでもないので、コートだけは脱いで壊れかけたイスにひっかけてある。先刻まではほどよい睡魔があったため、他はそのままでベッドへ体を預けたのだ。
 今は――眠る気も起きない。
「脱いだ方がいいか?」
「サユリばっかりずるいもん」
 言うと、ちいさな両手が伸びてきた。赤いネクタイを持って、裏返したり交互に引っ張ったり――
「……サユリ。首を締めてる」
「あ」
 ぱ、と手が離される。とりあえず引き絞られた結び目を人差し指で緩めておく。
「ごめんねカタナ。くるしかった?」
「いや」
 そのままネクタイを解こうとすると、鋭い声が飛んできた。
「だめっ」
 思わず動きを止めたこちらを尻目に、両の拳を固めて、サユリは宣言した。
「サユリがするのっ」
 そうしてこちらの同意も得ないうちに、ネクタイを片手にそれぞれ持って、――引っ張る。
「……サユリ、教えてやる」
 ぽん、と頭に右手を乗せてサユリの視線を上向かせる。その間に素早く結び目の位置を戻しながら、近距離でもわからない程度のため息をついた。
 サユリの小さな手を取り、結び目に指をひっかけさせる。その上に自分の手指を重ねて、
「こうして引っ張る。真っ直ぐ引っ張ってもあまり意味はない。左右に揺らすようにして――」
 大きさの異なる二つの手によって、ネクタイはだらしなく襟元に垂れ下がった。
「こうなったら後は結び目をほどけばいい。わかるか?」
「うん」
 そこから先は器用に、するすると襟元から赤のそれを引き抜いていく。
「できた!」
 ほどいたネクタイをきゅうと握り締め、嬉しそうにサユリが見上げてくる。つられて視線を――というか微かな笑みを――返す。
 が、ふとネクタイに視線を落としたサユリは、えっと、と考える仕草をした。
「……今度は何だ」
「カタナ、これどうやってたたむの?」
 普通の服のたたみ方は教えてやった――適当でいいと言ってもサユリは一歩も引かなかったからだ――のだが、身ごろがあって袖がある服とまるで勝手の違うそれに、サユリは戸惑っているらしい。
 今度はあからさまにため息をついてから、手っ取り早い解決策を述べてやる。
「そこらへんに投げておけばいい」
「だって、おれたりしわになったりしちゃう」
「ならない」
 じれったくなり素早く体を引き寄せて唇を塞ぐ。僅かな抵抗のあとサユリはくたりと大人しくなり、気管を痛めさせないうちに放してやった。無論、ネクタイは床へと放っておく。
 呼吸を整えたサユリはその行為に大いに不満を抱いたようだが、カタナのいじわる、と呟くだけに止め――「作業」を再開した。
「カタナ、ばんざいして」
 言われてホールドアップの姿勢を取ると、サユリの手がベストを掴み、よいしょと引き上げていく。
「えっと、……カタナ、あたまさげて」
 膝立ちの体勢を崩したくなかったのか、ベストを頭から引き抜くのに、サユリはそう指示してきた。
「あ。カタナ、まっててね」
 サユリは苦心して奪取したベストを手に、こちらに背を向けた。
 何をするのかと思っていると丁寧にそれを畳みはじめる。先ほどのネクタイのように、取り上げられるのを避けたのだろう。
 こうした強情な面がなおいっそう、自分の心をざわつかせるのだが――抑えておく。それで楽しむのはまた別の機会にするべきだ。
「できたっ」
 畳んだベストを手にサユリが振り向いた。
 が、畳んだものの置く場所に迷っているようで、きょろきょろと辺りを見渡している。
「サユリ」
 呼びかけて、ベストを取り上げる。
 小さな口が文句を紡ぐ前に、形が崩れないよう力を加減してソファに投げた。かけておいたコートの上へ無事着地したのを確認して、サユリがふにゃんと笑う。
 次いでサユリはシャツのボタンを一つ一つ外していき、ズボンの中に入った裾を慎重に引っ張り出して――どうやら布地が伸びるのを避けているようだ――こちらの前をはだけさせた。
 そうして膝立ちの姿勢から立ち上がりかけて、
「あっ」
 足裏の固いスプリングの反発か、突然姿勢を変えたことで膝が笑いでもしたのか、サユリはふらりとバランスを崩した。すかさず腰に手をあて、その場に踏みとどまらせてやる。
「ありがと、カタナ」
 両の肩口につかまりうまい足場を決め終えると、サユリはシャツの襟ぐりを掴んでそろそろと落としていく。
 肩が終わった途端するりとベッドに落ちたシャツは、まだ袖に腕を通したままだ。それぐらいは自分で脱いでしまおうと、袖口のボタンを外しにかかる。
 自然、腕の中にサユリを抱き込むようにして、やや前屈みに。サユリの小さな肩口に顎を乗せる感じで、手元を視認する。
 と――
「……サユリ?」
 小さな体が身動ぎしたかと思うと、首筋に柔らかなものがあてられた。
 位置的に目で確認することはできないが、明らかにそれはサユリの唇であろう。間違いなく。
 僅かな呼気と共に、ぷよぷよした感触が押し付けられてくる。サユリはそこを離れようとせず、しばらくそのまま首筋に張り付いていた。
「っはあ……」
 袖のボタンはとうに外し終わり、ただひたすら拙い愛撫を享受する――にもそろそろ限界が来た頃、ようやくサユリはそこから離れた。
 小さな体を閉じ込めていた腕を解き、屈めていた上半身をゆっくりと起こす。
 するとサユリの手が伸びてきて、そっとこちらの首に触れてきた。
「どうした」
「カタナ、うえむいて」
「上?」
 口にしながらその通りにする。
 天井に何かが居るとか異常があるとか、そういう話ではないらしい。
「……いつまでこうしていれば――」
「つかないよ」
 これっぽっちも噛み合わない会話が返ってきて、結局どうすればいいのかわからぬまま、とりあえず目線の位置を戻した。反論はなかったが、サユリはじっと首を見据えている。
「何がだ?」
「カタナがしたみたいな、あと」
 言って、サユリは自分の痕を示す。首筋にくっきりと浮かび上がるそれは、先ほど自分が付けた所有印だ。
 どうやら、長いことこちらの首へキスを続けていたのはキスマークを付けるべくの行動だったらしい。
「サユリ。さっきのやり方じゃ付かない」
「どうしたらつくの?」
 ちいさく首を傾げながら、サユリが問うてくる。
 相槌代わりに目元と頬に口付けるとカタナ、と回答を催促してきて、その純粋な探究心に左の頬が引き攣った。
「強く、吸うんだ」
「すうの?」
「ああ」
 再び、サユリの吐息が首筋を撫でる。先程より幾分マシになった行為は、けれど未だ「吸う」の次元に足を踏み入れた程度で、痕跡を残すには程遠い。
 口を離して変化のない皮膚を見て、やっぱりつかないよ、と不満げな声があがった。
「見本を見せてやる」
 ゆるく抱き寄せて、いいか?と耳元で囁いてから、先刻のソレと少し離れた場所に素早く痕をつける。
 暗がりの白い肌に、紅い痕はよく映えた――吸い込まれそうになるのを抑えて、付いたぞと呟く。
「カタナ、ついた?」
「ああ」
 すぅー、とサユリが大きく息を吸う。そして三度目の正直とばかりに、サユリの唇がこちらの首筋をついばんだ。
 しばしの間、くすぐったさを伝えてくる僅かな接着点に集中する。
「……やっぱり、つかないよ」
 それはそうだろう。サユリの吸引力では明らかに弱すぎる。だいたい、子供の体が持つ肺活量などたかが知れている。
 だがそれでも、行為を全うすることのできないことに対し、悔しさの混じった不満を見せるサユリは――やはり抱き潰してしまいたい衝動を起こさせて。
「練習すればそのうち、できるようになる」
 強引に押さえ込んだそれの代わりに、ずいぶんと気の長いことを言った。
「ほんとに?」
「続ければ、な」
 そんな歯切れの悪い答えにも、サユリは一瞬顔を輝かせた。けれど、痕のつかなかった箇所を不満たっぷりに見つめたまま動こうとしない。
「サユリ」
 視線を遮るように、彼女のすぐ前に右手をかざし、しばらくして下ろす。自然、サユリの視線は首筋から離れて下方に移動した。
 目線の止まった先――手の甲、親指の付け根辺り――を指で示してやる。
「こういった、柔らかい所がつきやすい」
 やってみろと言う前にサユリがそこへ口をつけた。吐息の合間にちう、と吸引音が入る。じわりと接着点が面に変わる錯覚を覚えながら、行為に没頭するサユリを見守る。
 そして。
「……ついた!」
 息継ぎすら後回しにして、勢いよくサユリが顔を上げた。
 見ると、温もりが残された手の甲には、わずかながら紅い痕が刻まれている。が、それもほんの五秒程度のことだった。
「あっ」
 あっさりと引いていく赤味を追うように、ああー、と声が続く。
 やがてこちらの右手は、元来の不健康じみた白さだけとなった。
「きえちゃった」
「もっと強くやらないと残らないな」
「もっとつよく?」
「ああ」
「サユリ、れんしゅうする」
 言って、サユリの小さな手がこちらの右手を持ち上げて、
「……くしゅん!」

 唐突に湧き起こった生理現象に、びっくりしたように顔を上げたサユリと、やはり驚いた表情の自分は顔を見合わせて――しばし。
 タンクトップ一枚でいたサユリに、俺は練習の中止を告げた。

「来い、サユリ。……温めてやる」



 差し伸べた手には小さな手が載せられ。
 引き寄せて、ただ貪るように全身に唇を寄せて。
 幾度となく温め直した体が応えなくなるまで、愛しい体を求め続けた。






 カタサユはそのありえない体格差ゆえに色々アレソレに制限がありましてですね、残る選択肢的にはもうちゅーするしかないわけですよ!(……)(脱兎)

(2004/09/05 up)

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