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勢いで放置

 週末はイベントに行ってきました。
 そういえば何しに行ったんだろうと考えてみるとなんか世話になりに行っただけのような気がしますうわんマジでありがとう親分ありがとうありがとーうー!!(平伏)
 鬼のようにレベルの高いレイヤーさんがたくさんいました。なんかあまりにもそのものすぎるリドファラさんらが居てどうしようかと思いました。
 あと医者に踏まれてるディストたんとか。何か踏んでる! 医者が踏んでる!! とかうっかり萌えそうになりました(あんた)
 それとトクナガがたくさんいました。そういえばディストたんがトクナガを持っているのを見たときはなんかもうあの本当どうしようかとギャース!!(察してください)(何を)

 それからとある人にロマンチェイサーの称号を授けてきました。いいから健康維持も計画に組み込むようにしてください。


 以下はいつぞやにMさん(仮名)と、るくたんはティアに対し果たしてヤキモチなぞを焼けるのか、いやない(反語)、では如何様にして焼けるようになるであろうかをテーマに延々リレー状態で語り合っていたときの産物。
 なのでルクティアです(なのでって何だ)(だって萌えのはずが単なるギャグになった気がしてならない)(私に文字に起こさせたのが悪いとおもいます)(あんた)
 無駄に長い上にまだ終わってないのでここに投下。


------------------



「おーい、ティ」
 見慣れた後姿を街中の雑踏に見つけて、ルークは声をあげた。
「……あ?」
 ところが不自然にそれを途切れさせ、語尾を疑問系へと変える。
 手を振ろうと頭上に掲げた手が、失速した紙飛行機のように、ゆるゆると力なく落ちた。但しその落下地点で、急激な力がこめられる。
(なんだ、あいつ)
 ルークが彼女の名前を口にした瞬間、まるでそれを邪魔するかのように彼の視界を遮るものがあった。
 長身の人間である。性別は男。年齢はよくわからないが、自分よりは年上で、かつて仲間だった軍人よりは若いだろうとルークは判断した。
 最初ルークは、自分が知らない彼女の知り合いだろうかと思った。
 彼女の職場の同僚が、仕事の話でも持ち掛けた――そんなありがちな日常のワンシーン。ならば邪魔をしてはいけないと慌てて言葉を飲み込んだのである。
 だがその考えは全くの勘違いであったと、彼はわずか1.5秒後に理解した。
 その根拠は、他ならない彼女の態度そのものである。
 あれはいわゆる「よそゆき」の態度だと、ルークは一目で看破した。伊達に出会ってからずっと叱られっぱなしじゃないんだと、かなり虚しい自負を叫ぶ。もちろん心の中だけで。
(――ってああ?!)
 見知らぬ男性の手が、ひどく自然に彼女の肩に回ろうとしていた。それに気付かないのか、柔らかな笑顔で何事かを話し続ける彼女。
 教団服を身につけた彼女の剥き出しの肩へ、その妙に嫌らしく見える手が触れようとした瞬間、
(あ)
 くるり、彼女が体を反転させた。道の先を指差しながら説明しているのは、どこかへの道順だろうか。
 文字通り肩透かしを食らった男は苦々しい――ルークの目にはどこか悔しげにも映った――笑みを浮かべ、大仰に頷いたりしている。おまけにまだ諦めていないのか、体の向きを変えた彼女に寄り添うようにして、同じ方向へと指をやる。
(なにんな近付いてんだよ超うぜぇ。離れろよなもう少し)
 その祈り――というには些か不穏な響きが混ざりすぎている――が通じたのだろうか、彼女は急に小走りで駆け出した。そうして近くの商店に入っていくと、手に紙とペンを持って戻ってきた。その場でさらさらと書き付けて、所在なさげに宙に浮いた男の手の中へ置いた。
(え、うわっ)
 軽い会釈をした彼女は、何故かルークが見かけたときとは逆方向――つまり立ち尽くすルークに向かって歩き出した。
 ルークは慌てて物陰へ飛び込む。
(……って、なんで隠れる必要があるんだよ)
 そっと道の方を窺いながら自分にツッコミを入れる。それはノリツッコミ等の茶目っ気のあるものではなく、本気でわけがわからない、己に対する素朴な疑問だった。
 男はさらに彼女へ言い寄ろうとしていたようだったが、振り向いた彼女が一言二言告げると、あっさり示された道の方へと消えていく。
 一体どんなことを言われたのかどこか同情じみた気持ちが湧いた。が、それも一瞬のことだった。
 とうとう表情が視認できるほどに近付いてきた彼女の表情が、いつもと変わらぬ「冷血女」のそれであったことに妙な安心感を覚え、ルークは偶然を装いつつ道に出た。
「あら、ルーク」
「よ、よう。偶然だなティア」
 微塵も偶然さを感じ取れない口ぶりのルークに、彼女――ティアは僅かに眉根を寄せる。だがすぐにそれを笑みで打ち消した。
 彼の挙動不審はよくあることであったし、今回のそれは程度的に軽微なものであったため、気にすることもないだろうと判断したのである。
 当のルークはそんなことを知る由もなく、妙に落ち着かない心地を持て余していた。もう妙な奴はいなくなったというのにだ。
(……なんだ、俺。なんでこんなムカついてんだ)
「ルーク?」
「えっ、な、なんでもない」
「……私はまだ何も言ってないわよ」
「あ……いや、その」
「なにかあったの?」
「べ、別になにもねえって」
「ほんとうに?」
「ほんとに! なんでもねーっつの!」
 そう思わず強い語調で言い放って、はた、とルークは我に返った。そして疑念を確信に変える。
(……なんだ、これ)
 わからないなりに表現するのであれば、ちり、と胸奥が焼けるような感覚。
 ごうごうと燃えているわけではない。小火のようにくすぶって、消えるのか消えないのかはっきりしない、そのことが無性に苛立たしい、そんな感覚。
 また、そんな事象の不可解さだけでなく、こうなった原因がわからないことが、さらにルークの心を不安定に歪ませていた。
 ――否、全くわからないわけではない。何となく想像というか、予想はついていた。但しそれはひどくおぼろげで、こういうことだと明言することができない。何故なら、それを表現する知識とか経験とかいうものをルークは持ち合わせていなかったから。
 これが親友や、嫌味な軍人だったらわかるのだろうに――むろん彼らは遠い地で多忙を極めているから、聞いてみる事も叶わない。
 考えれば考えるほど、心に小波が立っていく。落ち着かせようと考えているはずが、逆に更なる動揺を生む。
 その悪循環にルークは、
「どうしたの?」
 と、心配そうにかけられた優しい声に対し、
「……――、っ」
 なにかとてつもなく、ひどいことを口走りそうになった。
 かろうじて喉のところでそれを押し返して、――ルークは、そんな真似をしようとした自分自身に愕然となる。
(……な、なんだってんだよ。別にティアはなんもしてねーだろ、なのになんで俺)
「ルーク?」
 確認するように自分の名を呼ぶその声が――いつもはもっと呼んでくれればいいのにとか下らないことを考えるほどどうしようもなく好きなその声が――、今だけは耳障りな雑音以下に感じられる。
 わからない。わからないことが腹立たしい。自分のことなのに理解できない。
 まだまだ一人前には満たないのだと言われている気がして――それもよりにもよってティアの目の前で――ルークの頭の中はぐちゃぐちゃになった。
「ごめん、ほんと……なんでもない。俺ちょっと頭冷やしてくる! 夕飯いらない!」
 そのひどい現実に耐え切れずに、最低限の言い訳を置いて駆け出す。
「ちょっと、ルーク?!」
 後方からの制止の声にも、もちろん振り返ることはできない。そんな自分にさらに苛立ちが増して、ルークは心中で叫んだ。
(ごめんほんっとうごめんティア俺マジでわけわかんねー!)

 そうしてルークはただ一人、夕闇に染まる街中へ全速力で逃げていった。



*****



 両肩をがっくり落として、足取りもとぼとぼとおぼつかなく、全身で落ち込んでいますと主張しながら、ルークは家路を歩いていた。
(つーか、金持ってねーってどういうことだよ俺)
 心中でぼやく。
 といっても、もし現場が忙しくなってなければそろそろティアが帰ってくる頃合だと思い、散歩がてら迎えに出たのだから当然だった。
 出会った頃は財布を持ち歩くという習慣すら知らなかったルークも、さすがに旅の間に自分の財布を持つまでに成長していた。
 そしてここはバチカルの自宅ではなく、ティアと自分とで暮らす場所である。その生活は自宅でのそれと比べ、非常に慎ましいものなのだ。
 「節約」を善、「浪費」を悪とする質素な日々に、ルークはかなりのスピードで順応した。ティアと一緒にいたいがため、必死だったのである。
 そんなわけで、必要なものを買出しに行くとき以外は、ルークは財布を持ち歩くことがなかった。
 その結果、辞したはずの夕食を食いっぱぐれるというどこまでも情けない事態に発展しているのである。
「あー……腹減った……」
 ぐう、と自身の腹に同意される。ルークはあまりの情けなさに泣きそうになった。
「っだー! もうなんなんだ俺は! アホか?!」
 腕を振り上げ盛大にわめき散らしてから、糸の切れた人形のように再び落ち込み姿勢へ戻る。アホだよな、と呟いて実感してさらに落ち込んだ。
 時刻は夜半近く。もし明日が早いようなら、ティアはそろそろ就寝の準備に入っている頃合だ。そっと帰って部屋に引きこもるならば今である。そう考え、ルークはこの時間まで家出中の不良少年よろしく街中をぶらついていたのだ。
 幸い、玄関のカギだけは持っている。締め出しを食らう心配がないのが、唯一の救いだった。
 やがてティアと自分が暮らす家が見えてきた。
 灯りはついていない。よし、と思う反面、少しがっくりときた。
(さすがは冷血女だよな……って、ああもうそうじゃねーっつの、俺が夕飯いらねーって言ったからティアはさっさと部屋に引っ込んじまったわけで、だからティアは当たり前のことをしてるだけでさ)
 どんどん言い訳口調になるのを自覚しつつ、ルークは最後のため息を玄関前に吐き捨てて、ドアノブを握り締めた。ゆっくりと回してみる。
(……開いてるし。ったく、無用心だろーが)
 自分が鍵を持っていることを、家主たるティアは知っているはずだった。つまり自分は、彼女から帰ってくるものだと思われていたということになる。
 たったそれだけのことで口元を緩めながら、ルークは慎重に、音を立てないようドアを開いた。
 室内は当然真っ暗だった。
 ルークは玄関を半開きにしたまま、じっと目を凝らして自室に続く廊下までのルートを探る。
 もちろん家具の位置は頭に入っていたが、万が一ということもある。下手に何かとぶつかって派手な音を立てて、何事かとティアがやってきたら――それも怒って――元も子もない。
(……よし)
 室内の暗さに対し目も慣れ、適切な道筋を把握したルークは、後ろ手にドアを閉め、そうっと一歩を踏み出した。
「っ?!」
 途端、明るさに目がやられる。ルークは思わず額のあたりに両腕で庇を作り、突然跳ね上がった光度から目を守る。
 それでどうにか開けられた視界の中に、信じられない――というか、信じたくないものを見た。
「……おかえりなさい」
 静かな室内に響き渡る、どこまでも静かな声。
 感情を押し殺された、まるで彼女の腿に装着されている得物の刃を思わせる、冷たく澄んだ声。
 未だ回復しきっていないルークの視力では、彼女の表情までは判別できなかった。だが見なくてもわかる。
 彼女はきっと、その声と同じく、静かに冷徹に自分を見つめているのだろうと。
「た、……ただいま」
 日常で交わされる挨拶が、全く別のやりとりに聞こえていた。
 いっそ自分の耳がおかしくなったのだと、そう思い込めたらどんなに楽だろう。ルークは頭の隅で現実逃避に忙しい。
 だが現実はどこまでも容赦がなかった。そんなルークを引きずり出すように、次の言葉が発せられる。
「どこに行っていたの?」
 正直に答えるなら、街をぶらついてた、ということになる。
 だがそれだけは素直に答えてはならない、ルークの中で何かが警鐘を鳴らす。
 言えば確実に、何をしていたのかと続けられてしまうだろう。そうなってしまえば、もうルークに答える術はない。
(俺にだってわけわかんねーんだっつーの……!)
 そもそも、わけがわからなくてどうしようもなくて、ただひたすら街中を走り回ったり疲れてしゃがみこんだりぶらぶら歩き回ったりしていたのだ。
 答えられないでいるルークの視力が、徐々に回復していく。
 ティアの表情――というより顔を見た瞬間、ルークの中で治まったはずの何かが鎌首をもたげた。またそれと同時に、要らぬ心配をさせたのだという事実を実感して、申し訳なさが募る。
 二つの決して交わらない感情が、ルークの中で遠慮なくざわついて、ぐるぐると巡っていく。
 そうして高まっていくのは、ティアの前にいたくないという、先ほどと全く変わらない意味不明の心地だけ。だがこうして家に入ってしまっては、再び街へ逃げ出すことも叶わない。
 ルークは仕方なく、ティアから視線をそらすことで妥協する。
 無言でそらすのはさすがにためらわれて、その、とかええと、などともごもご口を動かしながら、どうにか視界からティアの顔を避けることに成功した。
「私には言えないの?」
 そんなルークへ、冷たい声がたたみかけてくる。ずきり、と胸が痛んだ。
 そのわずかな痛みにすら耐え切れずに、くそ、と己を罵ってから、ルークはそっと顔を上げてみた。
(……あれ?)
 ぱちぱちとまばたきを数回。それでも変わらない眼前の光景に、ルークは最初呆気に取られていたが、それはやがて焦りにも似た何かへ変質していく。
 ティアは静かに怒っているのだと、そう思っていた。しかしそれはルークの勝手な思い込みであったらしい。
 ルークの目の前のティアは、怒っているというよりはむしろ辛そうな顔をして、遅くに帰宅した同居人を見つめていたからだ。
(……――っ!)
 瞬間、ルークの中で、言うなれば「罪悪感ゲージ」みたいなものの針が最大値を振り切った。
「ち――違うっ! そうじゃねーんだ、俺はそんなつもりなんか全然なくてっ、だからそのっ、なんつーかええと、あー……」
 勢いそのまま否定して、言葉が続かない。当然だ、自分でもわけがわからないのだから。
 ただ一つわかったのは、自分の行動は確実にティアを傷つけたらしいということだけで、むしろ自分はティアにひどいことを言ったりしそうだったからあの場を離れただけであって、だから傷つけるつもりなんか毛の先ほどもなかったはずで、なのにこうしてティアは辛そうな表情を浮かべていて、――とにかく、また自分がしくったらしいということだけを、ルークは深く深く理解した。
 その事実を噛み締めながらしばし、あーとかうーとか唸ってみたり、頭をぐしゃぐしゃと掻き乱してみたり悪あがきを繰り返す。
 やがて、もうどうにもならないと現実を受け入れたルークは、力なく息を吐いた。
「ごめん。俺にも、よくわかんねー……」
 そうしてがくりとうなだれて――けれどそこで黙ってしまうほど、ルークは未熟なままではなかった。
 何でこんなことになってんのか、自分でも本当によくわかんねーんだと前置きしてから、自分のわかる範囲で、己が心に起きた事象を説明していく。
 あまりの不可解さに説明になっているかどうかも怪しかったが、それでもルークは一生懸命に言葉を探し、時折素直な感情も含めながら拙くつなげていく。
 ティアは最初は心配そうに、どこか不安を混じらせて聞いていた。
 だがだんだんと、なんとなくではあるが事情が飲み込めてきて――やがて額を押さえ、疲れたような表情でええ、と相槌を打つようになった。
 それは単に、ティアの不安や心配は杞憂に終わったため、軽く疲れが押し寄せてきているだけだった。想像していたような最悪の事態ではなくてよかったと、ほっと胸を撫で下ろしていたのである。もちろん、全てにおいて安堵できたわけではなかったが。
 しかしルークの目にはそうは映らなかった。自分の告解がさらにティアを苦しめている、そうとしか捉えられない。
「いやそのなんていうかごめん……」
 ティアの広がる安堵と反比例するように、ルークはどんどん気落ちしていき、再び力なくうなだれる。
(俺やっぱ駄目だ……)
 ルークは何だか泣きそうになりながら、とりあえず説明できるだけのことは言葉にしきって、はあ、と大きく大きく、ため息以外の何物でもない呼気を吐き出した。
 そうしてしばらく沈黙が続いた。
 呆れられたんだ、とルークは思う。それも当然のこと、わけのわからないことで勝手に錯乱して走り去って夜遅くに腹を空かせて戻ってきたのだから。
 ましてその事情説明すらおぼつかず、「情けない」という以外に、今の自分をどう表現したらいいのかわからなかった。
 自分がティアだったら間違いなく呆れるし、とりあえず、どうしたらこの情けなさを払拭……は無理でも、まだ見込みがあると思ってもらえるだろう。
(……あーもー! マジで情けなさすぎんだろ、俺……)
 考えて思い当たった方法はたったの一つだった。
 情けない自分が考えることなど、情けない結果になるに決まっている。
 本当にばかだアホだ俺はとひたすら心中で自分を罵倒しながら、ルークはその唯一の方法を行動に移すことにした。
 ――わからなければ聞いてみる、という、ひどく単純で明快な正当な行為を。
「その、ティア……?」
 とりあえず教えてくれと懇願する前に、ご機嫌伺いよろしく、ちらりと上げた目線でティアの様子を確認して、
(へ?)
 またも予想外の光景がそこにあった。
(えーと……なんで?)
 額を押さえるポーズは変わっていなかった。
 しかしその顔が、いや顔だけでなく耳までもが、何故か赤く染まっていた。
 額に添えられた手の影になっている、少しだけ隠れた表情が、――困惑とか困窮とか、そういった類のものになっている。
「……あの、ティア?」
 おそるおそる、ルークはもう一度声をかけてみる。
 ティアはのろのろと額の手を下ろしてルークを見ると、さらに困ったように眉根を寄せた。
 そうして目が伏せがちになり、
「その……あのね、それはその……ああもうっ」
 もごもご呟いた挙句、深い深いため息をつく。
 それは、つい先ほどのルークに勝るとも劣らない意味不明ぶり――少なくとも、ルークにとっては――だった。
(どうして私がそんなこと説明しなくちゃいけないのよっ、だいたいそれじゃまるで、わ……私が自惚れてるみたいじゃないの)
 ティアは恨めしそうな視線をルークに向けながら、そう心の中で悲鳴をあげる。
 当然ルークはその視線の意味が全く理解できない。何故だかよくわからないが、自分のせいで落ち込まれてしまったらしい――かろうじて、そう解釈できたぐらいで。
「いや、その、ティアを困らせてるのはわかるんだけど」
「そうじゃないのよ」
 そんなルークの的外れっぷりは、図らずもティアに苦笑をもたらした。
 数時間ぶりに見れた笑みに、ルークの心はあっさりと浮上する。
 ルークの心というものはいたくゲンキンな仕様になっているのだった。ことティアに関しては、特に。
「とにかく、ごめんな。もうこんなこと、しないようにするから」
 そうして持ち直したルークは、真剣な眼差しで言った。
 むろん、ルークが主張しているのは「今回のように勝手に飛び出すような真似はしない」という意味である。それ以上でもそれ以下でもない。
 しかし先ほどまで少々悩んでいたティアにとっては微妙な話だった。
 ルークの言葉を額面通り受け止めるのは容易である。こんな表情をするルークが、何か含みのある発言などするわけもないし、表情うんぬんは無関係に、そんな器用な真似はできはしないだろう。
 出会ってから三年以上が経過しているとはいえ、ルークのその心や精神は未だ、素直で純粋な十歳児なのだから。
 ――だがしかし、だった。
 先刻のあのどうにもならない心地が、釈然としない何かをティアの心に残そうとする。
 わかっている。そんなことを考えたところで、相手は――あんなに必死に説明していたのは一体何であるか、欠片ほども理解していない――ルークなのだから。
 何をどうしても一人相撲にしかならないし、それは一人で勝手に赤っ恥をかくようなものだ。
 ――そんなことをして、恥ずかしいとは思わないのか、ティア・グランツ!
 わざわざ訓練時代を思い起こさせる口調で自分に檄を飛ばし、ティアは静かに表情を引き締めた。
「……いいわ、別に」
 しかしどうにも収まりがつかなかったため、ティアはつい、余計な一言を付け加えてしまった。
「でも、今度そういうことがあったら、ちゃんと私に言って頂戴」
「わかった。約束する」
 こくり、ルークは素直に、真面目な顔で頷いた。


 こうして彼らの間で、また一つ約束が結ばれた。
 但し――互いに論点がズレたままの、既に約束と呼べるかどうか怪しいものではあったが。



------------------

 リレー状態の会話ログは確か20行程度だったはずがなにゆえこんなことに。
 いやきっとセリフのせいだ、セリフはいちいち改行するからなうんきっとそうだ。
 ことごとく萌え展開を投げつけてきたMさん(仮名)あんたは鬼や。ほんまもんの鬼や……!(主に萌えの

 一応この後に解決編が続くのですが、そっち一体何行分だったっけとか確認してみたら少々目眩がしました。
 でもMさん(仮名)が言い出したおまえのそれは無尽蔵か無尽蔵なんだないいぞもっとやれ的なやたらな萌え展開の数々を世に出さないのはマズかろうと思うので頑張ろうと思います気長に。
 Mさん(仮名)いつも世話になりすぎですいません蝶感謝オレオマエマルカジリ(以下略)

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