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日々是ダメ人間/雑記

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2009-10-25 自分メモ:12月8日まで この日を編集

_ [ネタ文] family and lover(ロアルカ)

ED後ロアルカ。宿題その4ぐらい。


 朝から続いた会議の合間、小一時間ほど空いた時間をどうやって潰そうかと話し合った結果、散歩がてら外の空気を吸いに行くことにした。  場所は手近なところで滝が見える丘公園に決定。じゃあ行くかと大鐘堂入口へ向かおうとすると、ちょっと待っててとルカは自室へ引っ込んでしまった。  廊下で待つこと数分、部屋から出てきたルカは薄手のコートと大きめの帽子を身につけていた。 「えへへ。お忍びっぽくしてみたんだけど、どうかな?」  確かに、ひらひらした付け袖を外し裾の長いベージュのコートを身につけてしまえば、あの目に鮮やかな配色はどこにも見当たらない。  これに帽子で髪型と目元を隠せば、一見したぐらいではルカだとはわからないだろう。 「あとはー……眼鏡があれば完璧なんだけどなー」  じーっと物欲しそうに見上げられる。  ぽん、と帽子の上から頭を叩くついでに軽く沈ませてから、軽くため息。 「俺のは度が入ってるからダメだ」 「クロアのけち」 「お忍びするのはいいが、それで目を悪くしたらどうするんだ。ほら、行くぞ」 「あっ、待ってクロア、こっちこっち!」 「こっちって……」  改めて入口に向かおうとした俺の手を掴み、ルカはぐいぐい引っ張りながら歩き出す。  辿り着いた先は、入口以外で大鐘堂内から外へ通じている場所――テルミナへ続く扉の前。 「ほら、せっかくお忍びの格好したのに正面から出て行ったらバレバレだし」  単に近道したいだけじゃないのか、とは心の中だけでツッコミつつ、さっさと奥へ進んでしまうルカを追いかける。  そのまま昇降機へ乗り込み、揚水歯車の薄暗い通路を歩きながら思ったのは二つ。  まず、「緊急時以外立ち入り禁止」の場所から出てくる方がよっぽど目立つのではないかということ。  もう一つは、あの公園に、見回りか息抜きにかはわからないが、時折騎士が立ち寄ることがあるということ。もちろん騎士に見つかっても何ら問題はないのだが、「お忍び然の御子様が男と二人きり」というシチュエーションを目撃されるのは、あまり歓迎したくない状況だ。  そんな感じで緊張気味に揚水歯車を抜けたのだが、騎士の姿は見当たらず、公園内のカップル達は自分のパートナーを見つめるのに夢中なようで、全ては杞憂に終わってくれた。  結局、こそこそと出てきた俺達に気付いたのは公園内にたむろしているペペンぐらいだった。  ペペンはなんかくれよと寄ってきたが、俺もルカも身一つで出てきたため食べ物もお金も持っていない。 「悪いな」  そう告げて通り過ぎようとすると、ルカは律儀にも後で持ってくるからと約束を交わしている。  上機嫌で立ち去るペペンを見送ったルカは、こちらの視線に気付くと小さく微笑んだ。 「クローシェ様の息抜きにと思って」 「息抜き?」 「うん。私の代わりに来てもらうの。約束しちゃったって言えば、気兼ねなく来られると思うし……ねえクロア、その時もし手が空いてたら護衛お願いしてもいいかな」 「ああ、わかった」 「よろしくねっ。夜はペペン達も帰っちゃうだろうから、昼間になるとは思うんだけど……クローシェ様、あれでかわいい物好きなのを隠したがってるみたいだから、他の人には任せられないんだよね」 「騎士の中には演説してるクローシェ様しか見たことない奴も大勢いるしな」 「うんうん。夢を壊すのはよくないよね」 「……そうだな」  そんなことを話しているうちに公園の端まで来た。  ひとまず滝の飛沫がかからないあたりに陣取って、二人で手すりに寄りかかる。 「んー……っ、外の空気って美味しいねー」 「そうだな」  伸びをするルカの帽子が落ちそうになるのを後ろからそっと押さえてやる。あっ、と気付いたルカは慌てて帽子をかぶり直して、コートの前も引き寄せた。 「大丈夫だ。あまり見られてない」 「そ、そう? ……あ、ほんとだ」  そろそろと後ろを振り返ったルカは、周囲を全く気にしていないカップル達を見てなーんだと小さくため息。  そのまま手すりに背中を預けて、堂々と公園全体を見渡し始める。  自分だけ滝を見ていてもしょうがないのでルカの姿勢に倣うと、何故かルカは再びため息をついた。それもひどく大きく。 「どうした?」 「うん……。パスタリアの女の子はみんなかわいい服着てるなーって思って」 「ルカの服も充分だと思うが」  もちろん今のお忍びルックを指して言ったわけではない。コートの下にある普段の華やかな服装のことだ。  ルカはそこは正しく解釈してくれたらしく、けれどやはり声色は落ち込んだまま。 「……これ、仕事着だから特に気合い入れてるし、いわゆる一張羅っていうか、これしかないっていうか……うん……」 「そ、そうか」  地雷を踏んだらしい。ルカはそのまま落ち込んだように肩を落としてしまった。  どう答えたものかと迷いつつ、いつまで経っても上がる気配のない顔を覗き込む。 「……ルカ?」  ルカは何やらぶつぶつ呟きながら、その顔色を青くしたり赤くしたり白くしたり再び青くしたりと、見ているこっちがどうしたらいいかわからない状態になっていた。 「おい、ルカ。大丈夫か?」  肩を掴んで軽く揺すってやると、がばっと顔をあげた微妙に涙目のルカが、早口でまくしたてた。 「く、クロア! 前にクロアに言われて服脱がされたとき、クロア私になにしたんだっけ!?」 「はあっ!?」  人聞きの悪いことこの上ない、一体何がどうしてそうなったのか全く理解不能な問いかけに、こちらも素っ頓狂な声をあげてしまう。  俺が指示して服を脱がして何をしたって、いや待て確かに服を脱がしたことは無いとは言わないが何をしたと言われてもそれはそのナニとしか。  軽く混乱しかけたこちらの耳に、ざわ……ざわ……と大変いたたまれないひそひそ声が届く。顔を上げると、さっきまでは見向きもしていなかったカップル達がこぞって不穏な視線を送ってきていた。 「っ……こ、こっちだ!」 「ふぇっ、ちょっまっ……!?」  ルカの細い手首を掴んで、そのまま全力で走り出した。


 ぜえはあと肩で息をしながら、路地の裏手から気配を探る。  人気がないことを確認して、きつく掴んだままだったルカの手を離した。  見ればお忍び用の帽子は落としてしまったようで、乱れた髪の毛を撫でるように、ぽんぽんと頭を叩いてやる。 「平気か?」 「う……うん、なんとか……」  げほっ、と咳き込むルカの背中をさすってやる。  コート越しだと気兼ねしなくていいのだが、加減によって指先が素肌を掠めたり掠めなかったりする感覚がないのは少々物足りない気がしないでもないな、などと考えつつ。 「落ち着いて。ほら深呼吸」  吸って吐いての声に合わせて何度か呼吸をさせたところで、改めて聞いた。 「落ち着いたか?」 「うん」 「よし」  ぽん、とルカの両肩を叩き、そのまま軽く掴んで正面から対峙する姿勢を固定する。 「さっきの話なんだが。……その、俺が脱がせたとかなんとか」 「え!? そ、そんなこと言ってないよっ!?」 「俺に言われて服を脱がされたとき俺が何をしたか、って聞いてきたのはルカだろ」 「えっ、えええそんなこ……――っ!?」  ルカの顔色がまた面白いぐらい見事な三段変化を見せてくれた。  どうやら思い出してくれたらしい。俺は忘れたいが。というか、あの場に居た全員に忘れてもらいたいんだが。 「わ、わっど、どうしようクロア!」  それはこっちのセリフだ。 「まあ、すぐ逃げてきたし大丈夫……だと、いいんだが」 「うう……」 「わりと声が大きかった気もするが、まあ一応変装っぽいこともしてたわけだしな」 「あっ、そっか。そうだよね。……あれっ、帽子――」  頭に手をやるなり再び顔色をおかしくするルカを、肩に置いたままの手でぐっと押さえ込む。 「落ち着け。逃げてくる途中で落としたんだろうから、戻る時に探せばいい」 「う……うん」  ルカは頷くが、今度はのろのろと顔を覆ったかと思うとうわああ……と情けなく呻き始める。  どちらかといえば俺の方がダメージは大きいんだけどな、名誉毀損的な意味で。 「……まだ時間はあるし、もう少ししてから戻ることにしよう」  観光名所とはいえ、あそこに居たカップル全員がずっとあの場に留まっているとも思えない。仮に留まっていたとしても、時間を置けばまた自分達の世界へ入り込んでくれてるだろうから、その後ろを素早く通り抜ければ済むことだ。  いいよな、と肩をぎゅっと掴んでやる。うん、と返事をしたルカも少しは落ち着いたようなので、手を離した。  壁によりかかり、溜め込んでいたものを大きく吐き出す。 「……」  このまま黙ったままなのも気まずいし、落ち込むルカを元気づけてもやりたい。それと、下手な受け答えをして地雷を踏むのも避けたい。  正確な現状把握から始めるのが無難そうだ。 「なあルカ。本当は何を言おうとしたんだ?」  あの謎の質問が本当にルカが聞きたかったこととは思えない。そもそも文脈が滅茶苦茶だし。 「……えっと」  ルカは合い向かいの壁に背中を預けて、己の靴先あたりを見たままで答える。 「その、一緒に暮らしてたときとか、私すっごい格好とかしてたなって……」 「そんなことはないと思うが」 「だっ、だって、さっきの女の子たちみたいにかわいい格好とか全然したことなかったし、髪とかボサボサだった時もあった気がするし」  どう考えても普通のことだと思うんだが、そうではないと思い込んでいるルカにただ「普通だ」と言ったところで納得するかと言えば、答えはノーだ。 「だから、その……クロアに、情けない格好とかたくさん見せてきちゃったんだなって思ったら、き、急に恥ずかしくなってきちゃって……!」  つまり、恥ずかしさのあまりテンパった結果、あの誤解を招こうとしているとしか思えない珍妙なセリフの創成に繋がったということらしい。  小さくついたため息は、再び顔を覆ってしまったルカには見えなかっただろう。 「……別に、そんなこと俺は全然気にしてなかったし、髪がボサボサなのも見慣れてたから何とも思ってない」  びく、とルカが小さく震えた。  傷つけてしまったかもしれない。だが、少々呆れてしまったのも事実なので、フォローは諦めることにした。 「それに、俺とルカは家族同然だっただろ」  一応言葉は選んだつもりだった。  それでも、彼女の古傷に抵触してしまったかもしれない――僅かな恐れと共に、ルカの様子を窺う。 「……家族」  随分と間を置いて、ルカはそう呟いた。  両手を外したその顔がゆっくりと上がり、その表情は、どこか戸惑ったような色に染まっている。 「あ……まあ、俺はそう思ってたんだが……その」 「う、ううん! そうだよね、私とクロアは家族、だったんだよねっ」  ルカはぶんぶんと両手を振って否定した。  その後何故か顔を赤くして、もごもごと何度か言い淀む。 「で、でも……今は」  一度俯かせた顔が、そろりと窺うような上目遣いを向けてきた。 「こ……恋人でも、あるんだよ、ね?」  何を当たり前のことを。  そう言い返すにはあまりにもルカの表情――その瞳が不安げに揺れていたので、 「ああ」  浮かべた笑みが苦笑にならないよう努力しながら、大きく頷いてやるほかない。 「え、えへへ……良かった」  ルカはへにゃっと相好を崩し、家族同然の恋人、などと呟いて一人で照れている。  その声がこちらに聞こえていないとでも思っているのだろうか。  そんな嬉しそうな顔で。  こちらがどう思ったのか、なんて。 「……まだ、もう少し時間を置いた方がいいよな」  独り言のように――実際ルカには聞こえていなかったようだが――言って、ルカとの距離をそっと詰めた。 「クロア?」  細い体を優しく壁に押し付けて、不思議そうに名前を呼ぶ唇を塞ぐ。  触れるだけのキスはすぐに終わらせて、息継ぎする間もなく再び唇に触れ、今度は奥まで浸食する。  そう、ルカの言うように――家族であり、恋人であることを示すように。


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 ルカさんの素晴らしい三段飛ばし思考による絶望っぷりやら自爆っぷり(萌)を言い出した人がまとめろって言ってたのでまとめました。  結果として色々としょっぱくなってるのはいつも通りの仕様です(その節はありがとうございました土下座!)

_ [雑記] どうにかこうにか

体力限界につき臨時休業、をもぎとったものの、自分があまりにもクロア好きすぎてキモかったことを再認した上に一気にクロアに飢えたので、思わず途中で止めてたルカルート2周目再開したら丁度PHASE1のルカファリカイベント直後のところで時間切れになって一人で悶えたりしてますが私は元気です(主に膿んだ脳髄が) 色々確認のためルカファリカ後に各地を巡ってみたらあらゆる意味で辛いなんだこれ!! わーんルカー!! っていうかクロアー!!(がんばん) 次に再開できるのいつだ……が……頑張って時間作ろう……。

えーとまた後でまとめてみたいけどとりあえず叫んでおく、でもAT2ネタバレっぽいし(今更)色々うざいと思うので一応続きにしておきます、っても携帯からは丸見えですが本当すいませんご面倒おかけします。

PAHSE1ルカファリカ時にクロアが「これが……俺たちの約束の地……」って呟いてて、「俺たち」ってことはルカとのっていうよりはタルガーナとのことかっていう。だとすると、呟いた時のクロアに「ルカを喜ばせたいから騎士になる→大鐘堂が掲げるメタファリカ信仰→メタファリカを紡げば幸せになれる→俺たちのメタファリカだ!」的な一連の幼少の記憶が去来したりしなかったりして、でも蓋を開いてみればあの結末で、それを踏まえて「こんな犠牲が必要なら、メタファリカなんて要らない」「誰もが幸せになれるなんて……嘘じゃないか……!」等々のセリフが続いたかと思うと、ルカにパスタリアへ連れて行くと約束したりタルガーナと俺たちのメタファリカだ言ってたりしたチョーシぶっこいてた幼い自分に愕然としてそうだから困る。だがそれがいい。

クロアの諦念ぶり(どうひっくり返っても手に入れられない/取り戻せない何かを抱えてる)ってあたりが無駄に好きすぎですいません。主人公ならその諦念をどうにかしたいってあたりをもっと前面に押し出して然るべきだと思うんだけど、クロアは(その想いが心の底にあったとしても)ろくすっぽ表に出さないし主張もしないあたりがどーしよーもねー奴だと思います。だがそれがいいし、それが見てられないのでどーにかしてやりたいっていう。んで、クロアがそんなキャラになっちゃったのがシナリオ都合っていうかシナリオライターの力量都合っぽい気がしてならんのが正直ギリギリしてならなかったりするのは私だけでいい。

……うっかり長々言い過ぎた。ルカルート2周目で魔大陸が終わったあたりで一旦クロアまとめをしておきたいなあ。その後は空気一直線だし。

あ、AT3は普通に楽しみにしてます。


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