トップ «前の日記(2006-10-15) 最新 次の日記(2006-11-06)» 編集

日々是ダメ人間/雑記

内容は基本的にネタバレ有りです。
SSをお探しの場合は、右下の「ネタ文」をクリックすると一覧が表示されます。

2006|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2007|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2008|01|02|03|04|05|06|07|08|09|10|11|12|
2009|01|02|03|04|05|07|08|09|10|
2010|01|02|04|06|07|10|11|
2011|01|
2012|01|
2013|01|06|
2014|05|09|
2016|01|02|03|04|08|

Categories | アニメ | アルトネリコ | ゲーム | ネタ文 | バトン | ラノベ | 雑記


2006-10-31 未だリハビリ中

_ [雑記] 今更なのはわかってるんだ

アビスのドラマCDVol.1を聞きました。様々な大人の事情が見え隠れしつつ、ガイ様と子安が微妙に弱体化してるのはまあご愛敬として、子安(の台詞)に慇懃無礼な上品さが足りてない気がしたのは私だけかもしれないので置いといて、ミュウの存在が何事もなかったかのように華麗にスルーされているのはどのような事情があったのでありましょうねこのままだと底辺まで堕っこちたるくたんの唯一の味方が不在って話になるんですけど、いいのかそれでマニムンよ(まあいいんだろうけど)(あたしゃよかないけど) 大谷さんの代役は今をときめくツンデレ(キャラ)声優(えー)こと釘宮女史でした。大谷さんの声質と比べるとやや周囲に埋もれがちな声色ではありましたが、これはこれで良いのではないでしょうかね。

とりあえず小野坂の強制上書き能力はハンパないということがよくわかったドラマCDでした(こら)

_ [ネタ文] モンコレとおおかみ(ルクティア)

季節柄に乗じてED後るくちあを放置。細かいことは気にしなければいいとおもいます(最低だ)


 久方ぶりに取り出した一揃いの衣装を頭から足先まで全て身に付けて、ティアはそろりそろりと姿身の前に立つ。 「……」  気恥ずかしさから長くは直視できず、普段まっすぐに物を見る視線が不安定に泳いだ。  これは仕事の一環でもあるのだからと己に言い聞かせ、だから決して公私混同とか趣味と実益を兼ねるといったものではないのだと言い訳じみたものまで付け加えて、ともすれば緩みそうになる口元をきっと引き結ぶ。  少しずつ向きを変えて、正面以外の見た目も確認する。目立っておかしなところはないだろう――この衣装はしっかりと手入れして厳重に保管していたのだから、ほつれや虫食いなどということはありえない。否、絶対にあってはならない。  一通り確認を終えて、問題なしと判断した。 「……」  わざわざ用意した、それっぽく見えるような見かけ重視のロッドを握り締め、鏡に映った「衣装」を見つめる。 (……かわいい)  ちなみに、彼女の視界にあるのはあくまでも衣装だけであり、それを身につけた自分自身は含まれていない。  しかし、傍から見れば明らかに自分自身に陶酔しているナルシストにしか見えないだろう。  かわいいものを前にした自分は、我を失いがちである――そのことを彼女はしっかりと自覚していた。他人から持たれているイメージと、そんな己の醜態とでギャップが生じたりすれば、一握りの信用が損なわれるかもしれないことも含めて。  もちろん、自分の趣味が標準よりズレているとは思っていないが、それでも、全面的な理解を得るのは難しいだろう。  だから、人には言えないし見せられないのだ――自分がかわいいもの好きだということは。
 そう、だから――衣装に見入っているこの最中、突然部屋の戸がノックされたとき、必要以上に驚いてしまったのも仕方がないことだったのだ。
「っは、はい!」  ばくばくと早鐘を鳴らす胸を押さえ、音のした方を見る。当然ながらドアの向こう側が見えるわけはないのだが、そこに立っているであろう人物が誰であるか、ティアは容易に想像できた。何故なら、今この家屋には自分と彼しかいないのだから。  返事をしたものの何の反応もない。しかし立ち去った気配もないということは、まだドアの前にはいるのだろう。 「ルーク?」  急に具合でも悪くなったのだろうか。夕食時の様子からしてありえないとは思いつつも、ティアは己の格好のことを忘れドアの鍵を開けた。  途端、 「がおー!」  引き戸のそれが勢いよく開いて、芝居がかった――といえば聞こえはいいが、正直、頭が真っ白になるような脱力感を容赦なく与えてくる――叫び声がティアを襲った。  目の前の光景をどうにか理解しようと思考を働かせるのだがうまくゆかない。  呼吸すら忘れて眼前を見つめ続ける彼女と、わきわきさせる感じの両手を頭上に掲げたまま立ち尽くす訪問者は、そうして数秒間お見合いした形で時を止めていた。

*****

「ティアもやるって聞いてたけど、それか」 「ほとんど警備か誘導でしょうし、教団服でいいと言ったのだけれど……雰囲気作りも大事だからと押し切られてしまって」 「そっか。いいんじゃねえ? 似合ってるし」 「……そ、そう、かしら」 「うん。かわいいよな、それ」 「か、……からかわないで」  ティアはふい、と顔をそらした。  一体誰に似たのか、彼は臆面もなくストレートな世辞を言うことがある。言い終えてから一人で照れていることも度々だが、今回はさらりと言った内容に気が付いていないようだった。そっぽを向いたティアに聞こえる音量で、からかってなんかねっつの、とぼやいている。  来週から、この街では小さな祭りが始まる。いわゆる豊穣祭の類なのだが、今回は趣向を変えて仮装を取り入れた大々的な内容となるらしい。そのため客足も増えるだろうという予想の元、駐屯中の教団員などがボランティアで裏方参加することになったのだ。 「……つーかさ。少しぐらい驚いてもいいと思うんだけど」  不満そうな声に首の位置を戻してみると、何かを確認するように彼自身を見下ろしていたルークが顔を上げたところだった。当然ながら、その表情も不満一色に染まっている。  ティアからすれば決して驚かなかったわけではないし、むしろ驚きのあまり何が起こったのか理解するのに時間がかかったというか、予想外すぎたというか――とにかく、衝撃的であったことには違いがなかった。  ただ、そう告げたところで彼の不満が収まるとは思えなかったので、ティアは曖昧な笑みを浮かべるだけにしておいた。  そうして、改めて相手の姿を見やる。  服はいつもと変わっていない。伸ばしたままにしていた髪は先日切ったのだそうで、どこか若々しくも見える。  その赤毛の頭に、獣の耳が二つ。  両手には獣のそれを模した手袋。  ズボンの後ろ側から不格好に飛び出したふさふさした毛並み。 「これでも一応オオカミ男なんだけどな。……普通、もうちっと驚くもんじゃねえ?」  自然、ティアは彼を上から下まで眺め直した。  その上で、「狼」という単語を頭の中で反芻して、イメージする。  狼。四つ足の肉食獣。 「何笑ってんだよ」  ぶすっとした声に指摘されて初めて、ティアは自分の口元がほころんでいたことに気付いた。 「え? あ、ええと、その、笑うつもりはなかったの」 「……笑ったことは否定しねーし」  ふて腐れ気味になにがおかしいんだと呟かれては、何か言い訳しないわけにはいかなかった。  何故なら、彼女の笑みには――おそらく彼が勘違いしているような――「馬鹿にする」といったようなニュアンスは一つとして含まれていなかったのだから。 「違うのよ。ただその、あなたが狼だなんて言うから」 「オオカミ男の衣装だって渡されたんだっつの」  それはわかっている。偶々やってきた彼の分はないだろうかと聞いてみたとき、ありあわせで出来そうなのはこれぐらいですかねと言われ、それでいいと合意したのは他でもないティアなのだから。  むしろ、わかっていたからこそ――衣装そのものは彼が一人で受け取りに行ったので、どんなものかは知らなかったこともあり――予想とのギャップに衝撃を受けたのだ。 「あーくそ、何なんだよ何が悪いってんだよ!」 「悪いだなんて言ってないじゃない。その……似合っていると思うし」 「え、そうか?」  彼の声のトーンがわずかに上がった。  下手なことは言わないようにしようと直接の回答を後回しにしていたのだが、どうやらぬか喜びをさせてしまった気がしないでもない。自ら言いにくくしてしまったことを後悔しながら、ティアは心持ち小声で付け加えた。 「ただ、……その……狼、というよりは、犬っぽく見えてしまって」  それで可愛いなと思って口元が緩んだ――とは、さすがに続けられなかった。そう、相手が誰であれ、かわいいもの好きは公言するべきではないのである。 「犬って……お、おまえなあ、わんたろーとかといっしょにすんなっつーの!」 「わんたろーはもっとかわいいもの」  即座に、それも強めに言い返してから、ティアは我に返った。  かわいいもの好きの血を抑えることができなかった自分を悔やむがもう遅い。  これではまるで―― 「ち、違うのよ? そういう意味ではなくて、その」  相手がどこかガックリした風に俯いてしまったことに気付き、ティアは慌ててフォローを試みた。何をどうフォローすればいいのかさっぱりわからなかったが、それでも、自分が彼を傷つけてしまったらしいことには違いない。  そんなつもりはなかったと、どうしたらわかってもらえるだろう。  そうしてティアが必死で言葉を選んでいると、黙ったままだったルークが小さく呟いた。 「……ティア、知ってるか?」 「え? 何を――」  言葉は不自然に途切れた。あまりにも突然のことだったため、叫び声すらあげられなかった。  肩を掴まれたのか押されたのか判別できないうちに、一瞬だけ体が浮く。続いて衝撃。尻からベッドに落ち、ついた両手で体を支えようとしたが、さらに肩が押されて手のひらがシーツの上を滑った。  ぱち、と瞬きした視界に、逆光になって判別しづらい彼の顔がある。起きあがろうとすると、肩のあたりが圧迫されていることに気付く。組み敷かれているのだと、そこでようやく理解した。  ルーク、と口を動かそうとしたところで、覗き込まれるように顔が近づけられる。  反射的に呼ぼうとした名前を飲み込んでしまい、――にやにやと面白がっているような表情が見えた。 「男はみーんなオオカミなんだってさ」  からかうような口調だった。  否、ような、ではなく実際にからかわれているのだ。それも、なんだかとんでもない冗談でもって。 (……っ!)  そのことに理解が及んだ瞬間、ティアの体は勝手に、迅速に、正確に、ナイフのような鋭さを持って、動いていた。 「っうわ?!」  体術の応用で、ゆるくのしかかっていたものを容赦なく払い落とす。  ティアがゆっくりと体を起こすと、ろくに受け身も取れずにベッド下に落下したらしいルークが、痛みに顔をしかめて体を起こしているところだった。  それをどこか冷めた心地で見下ろしながら、目が合った途端ぎくりと体を強張らせた彼へ、――口を開きかけて少し考え直し、言おうとしていた台詞を変えてから―― 一言告げてやる。 「今の私が何だか忘れたの?」  押し倒されても手放さなかったロッドを、ひゅん、と音をさせて突きつける。  即座に両手を挙げた降参のポーズを取った彼は、冷や汗を垂らしつつもぼそりと呟いた。 「……オオカミ男もモンスター扱いかよ」  彼にしては冷静なツッコミを無視すると、ティアは彼を見る目つきをすうっと細めた。それだけで、気温が下がった気がした――とは、後の彼の言であるが。 「ご、ごめん! 調子に乗りすぎた、その、本当にごめん俺が悪かったっ、ごめんティア!」 「……わかればいいわ。本当に、ふざけるのも大概にして頂戴」


 最後までごめん、と謝り続けた彼を部屋から送り出すと、自然ため息がこぼれた。 (……狼、だなんて)  先ほどの彼のセリフ――そして行為――が記憶の中から勝手にリピートされる。途端、勝手に顔面の温度が急上昇した。 (い、犬だもの、わんたろーじゃないけれど、犬だったもの!)  ぶるぶると強く首を振って、色々がごちゃごちゃになった思考を霧散させる。  ティアはぺちん、と手袋の両手で頬を叩き、さらに深くて長い息を吐いた。
「……ばか」


-------------
 アビス世界にそんな都合のいい祭りがあるもんかと思いつつ、だがしかし世間のハロウィンの流れに乗じてしまえば、あの世界観(それもED後)にそぐわない違和感バリバリのありえない状況設定も誤魔化せるかなとか思ってみた次第です。  まあ失策だったことは言うまでもありませんがすいません全ては出来心でした。
 ところで、るくたんにはまだ「こすちゅーむぷれい」(の境地を理解するに)は早すぎてればいいとおもいます(最低だ)


トップ «前の日記(2006-10-15) 最新 次の日記(2006-11-06)»