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日々是ダメ人間/雑記

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2010-06-03 細井サウンドが好きすぎで困る

_ [ネタ文] consolation prize(孔花)

恋戦記で師匠EDからあんまり時間経ってないあたり。


「休憩にしようか」  猫のように伸びをしている師匠に、はい、と返事をして立ち上がる。 「何か飲み物もらってきますね」 「いいよ持ってきてもらえば。――あ、そこの人悪いけどお願いできるかな。お茶を二人分」  師匠は部屋の小窓から通りすがりの侍女さんに声をかけた。  かしこまりましたと聞こえる返事には動揺した様子もなくて、ずっと前からこういう横着なことをしているのかもしれなかった。 「はーやれやれ。終わらないね全く」 「そうですね」 「ほら、君もいつまでも突っ立ってないで、そこ座って」 「あ、はい」  言われるままに床敷きの絨毯の上へ正座する。  着ているのはもう制服ではないので、短いスカートを気にして正座をしなくてもいいのだけれど、何となく。 (でも、足を崩して座ってたら、女の子がそれでいいのとかだらしないとか、そういうことを色々言われそうな気もするし)  書簡が山積みになっている机から師匠がやってくると、失礼しますと外から声がかかった。 (お茶かな。にしては早いような……)  などとぼんやり考えていたのがいけなかった。 「孔明様。玄徳様からの書簡をお持ちしました」 「ああ、ご苦労様」  受け取りに行こうと立ち上がりかけた時には、師匠が書簡の山を受け取ったところだった。 「あっ、あの師匠すみま――」 「また増えた。今日も終わるの遅くなりそうだなあ。……って、何か言った?」 「え。あの」 「失礼いたします。お茶をお持ちしました」 「ああ、どうも。それじゃ休憩休憩」  お茶が届いたことで、私の中途半端な謝罪はなかったことになった。 (……変なの)  てっきり、弟子のくせに師匠を働かせるのとか何とか、嫌味が飛んでくると思ってたのに。 (今日の師匠、何かいいことでもあったのかな)  とりあえずお茶を淹れていると、書簡の山を机に置いてきたらしい師匠が戻ってきた。 「よいしょ」 「……」  まず思ったのは、師匠が戻る前にお茶を先に淹れておいて良かった、ということだった。 (……えーっと……)  正座した膝――というか太股の上に、人の頭が乗っかっている。  人っていうか、師匠だけど。 「あの、師匠」 「ふわああ。何?」 「え、その……お茶、冷めちゃいますけど」 「うん。そうだね。でも休憩だから」 (……話が噛み合ってない……)  このままだと私もお茶が飲めない。  師匠と向かい合わせで座ってお茶を囲むのかと思ったから、お茶は手元より少し遠い位置にある。  取るには、少し前屈みにならないと無理かも。 「んー……」  どうしようかと迷っていると、穏やかな寝息が聞こえてきた。  いつだったかと同じように、師匠はあっさり眠ってしまったらしい。 (……気にすること、ないかな……)  ただ、袖が顔にかかったりすると起こしてしまうだろうから、袖を注意深く持って、そろそろと体を前へ。  腕を伸ばして、指先に陶器の感触が伝わる。 (……と、れた)  ゆっくりと姿勢を戻して、安堵の息を吐く。  さっそくお茶をいただく。妙に喉が渇いてしまったせいか、お茶の葉は多分いつもと同じものなんだろうけれど、とても美味しく感じた。 「はー……」  ふと師匠の机を見やって、一気にげんなりする。 (本当に終わるのかなあ……。まあ、やるしかないんだけど)  そうしてお茶を飲み干してしまうと、もうやることがなくなってしまった。  もちろん休憩時間なんだから、やることと言えば休むことなんだけど、膝に乗った頭のせいでちっとも休んでいる気がしない。 (ちょっと足が痺れてきたかも。うー……)  かといって、師匠の寝顔を覗き見ればすごく気持ちよさそうで、起こすのも忍びない。 (もうちょっとしたら、起こそうかな……。うん、そうしよう。今日中に終わらなくなっちゃうし)  書簡の山を見ると気が滅入るので、窓の方に目をやる。  外は良い天気で、日向ぼっこでもしたら気持ちよさそうだった。  しばらくは毎日忙しいから覚悟してねと言われているので、そんなことができるのは随分先のことなんだろう。  少しだけ遠い未来に思いを馳せながら、私は窓の向こうの青空をぼんやり見つめていた。

***

(――……ん)  何かのはずみで、意識が急浮上する。  開いた視界に映るものを理解するまでに、少しかかった。 「――え、っ」  反射的に頭を後ろに退く。  起き抜けで今自分がどんな体勢でいたのかも把握してなくて、ぐらりとバランスを崩したことだけがわかる。  ばたばたと両腕を動かすと床に当たって――自分は座った姿勢で後ろに傾いでいると理解して――そのまま両手をぺたりと床につけた。 (っいたた)  後ろに傾いた姿勢のおかげで中途半端に正座が崩れて、痺れ気味なのも加わって嫌な痛みが走る。慌てて足を崩して、ついでに体勢も元に戻す。  そんな自分をじーっと見ていたその人は、呆れたように言った。 「……何してるの」 「な、何って、そ、それはこっちのセリフで……」 「ボクは君が寝惚けて一人で暴れてるのを見てただけだけど」 「っそ、その前にな、何かして……しようとしてましたよね!?」  問い詰めながら、目を覚ました瞬間の情景を思い出して一気に顔が熱くなる。 (し、師匠の顔が本当にすぐ目の前のところにあって……) 「したね。あと少しのところで君が目を覚まして、挙句に人の顔を見るなり逃げるみたいに避けてくれたけど」 「だ……だってそれは、びっくりして」 「どうしてあそこで逃げるかなあ」 「に、逃げてなんか」 「ボクからこんなに距離を取っといて何言ってるの。……あーあ、傷つくなあ」  師匠は普段と大して変わらない表情のまま、ものすごくわざとらしくそう言った。  反論したいけど、反射的に避けてしまったのは事実なので、何も言い返せない。かといって、謝るのも何か違う気がする。  私は不服そうな顔にならないよう努力しながら、ただ顔の熱が引くのを待った。 「……まあいいや」  師匠は飲み干したらしいお茶のカップを置くと、 「君、いつまでだらしない格好してるの。正座!」 「は、はい」  僅かに痺れが残っていたけれど、正座してみるとそれほど痛みはない。  良かったとほっとしていると、師匠はまたごろりと横になった。……私の膝を枕にして。 「やっぱり若い女の子の膝っていいよねえ。これが布越しじゃなかったらもっといいんだけど」  師匠が何だか世迷い言を……もとい、ものすごく返答に迷うことを言った。 (それって、またスカートを穿けってことなのかな……え、ええー……)  とりあえず、聞かなかったことにした。 「……まったく。人を膝枕しながら寝るとか、君は随分器用だよね。それも一度だけじゃなくて二度も」  これ、誉められてないよね、多分。  何か言っても藪蛇って気がするし、黙っておこう。 「変わったのは服装だけ。……本当、君は変わらないよね」  つまり、成長していない、と言いたいのかな。  情けないけどそれは事実だと思うので、やっぱり言い返せない。あと、わかってることとはいえ、ちょっとへこむ。  自然と俯いた私の視界に、にゅっと師匠の手が伸びてきた。 (え――)  頬に触れた師匠の手が、私の視線を誘導する。  私の膝に横向きで寝ていた師匠が、いつの間にか仰向けの状態になっていた。  私を見上げる、逆さまになった師匠と目が合う。 「ほんと、どうして帰らなかったの」  囁くような師匠の声は、優しくて、それでいて――ひどく、切なくて。 「君が元の世界に帰って、ちゃんと幸せになってくれたら、ボクはそれで良かったのに」 「――」  言葉が出ない。  私を見ているはずの師匠の瞳は、どこか遠い何かを映しているようで。 「そうしたら……ボクのしたことは正しかったんだって、そう思えたのに」  師匠は、まるで私を責めるかのように――あの日別れを告げようとしたときの、柔らかくて、けれど残酷な笑みを浮かべて、そう言った。 (……ちがいます、よね。師匠)  それは本心じゃないですよね。そうやって、自分に言い聞かせようとしてるだけですよね。 (そんなの、必要ない、のに)  そんな――そんな今更なことで、罪悪感を持つ必要なんか、どこにもない。 (だって、私がここにいるのは――) 「師匠」  私は精一杯に強がって、笑ってみせる。  師匠の言葉はとても重くて、弟子の私にはひっくり返すことすら難しい。  でも、負けたくないし、負けるつもりはない。  だから、きっぱりと笑顔で告げる。 「今、私とても幸せです」 (――私がここにいるのは、私が選んだからだ。師匠を。師匠がいるこの世界を)  師匠はしばらくぼんやりと私を見つめて、そして、ゆっくりと破顔した。 「うん。そうだね」  真っ直ぐな言葉だった。  その上で同意をもらえたとあって、私は良かったとほっと一安心――したのも束の間。 「うんうん、君ならそう言ってくれると思ってた」 (……あれ?)  師匠は先程のアンニュイな雰囲気はどこへやら、ひたすらお気楽に微笑んだ。 「いやあ、そう言ってもらえると救われるなあ」 「……」  もしかして、もしかしなくても、からかわれたんだろうか。 (――っし、師匠……!!)  でもやっぱり、言い返すことはできない。  別に師匠の言ってることはおかしいわけじゃないし、その、ちょっと態度がアレなだけで……だけで……。 (亮くん、どうしてこんなになっちゃったんだろう……) 「ん、何?」 「いっ、いえ! 何でもないです!」 「ふーん。そう?」  ひょっとして、顔に出てたんだろうか。  これからは、師匠の前ではあまり気を抜かないようにしよう。うん、それがいい。 「……ねえ、花」 「あ、はい」  見ると師匠はまた柔らかな笑みを浮かべていた。  その笑みには、切なさや意地の悪いものは含まれていないように見える。 「帰りたくなったら、ちゃんと言うんだよ」 「……え」  師匠の表情には何の裏もなさそうなのに、それなのに、急に何を言い出すんだろう。 「でも、師匠。本はもう消えちゃって……」 「そうだね。それでも、もし君がそれを望むなら、ボクは全身全霊をもって、君が帰れる方法を探そうと思う」  私は瞬きもせず、師匠を見下ろす。  見つめてくる師匠の瞳は――間違いなく、私だけを捉えていて。 「――わかりました」  だから私も、自然に顔が微笑むのを自覚した。 「帰りたくなったら、ですよね」  逆を返せば、帰りたくならなければ、そんなことを言う必要なんかないってことだ。  なんだろう。なんだか嬉しい。  師匠が私のことをそこまで考えてくれたこととか。  あと、師匠の提案を逆手に取って、揺るぎない私の意志を伝えられたことも。 「……」  師匠は何も言わずに体を起こした。休憩は終わりということだろう。  茶器を片付けようとすると、その場に座ったままの師匠がぼそりと呟いた。 「生意気だな」 「え?」 「ボクの弟子にしては、回答が模範的すぎる」  回答って、さっきの質問のことだろうか。 「あの、模範的すぎるって……」 「もう少し捻って、斬新さが欲しいかなあ。見方や切り口を変えたりして発想の転換を図ることは、今後軍師としてやっていくのに必要なことだと思うし」 「は、はあ……」  これって、ダメ出しされてるん……だよね。 (まさかさっきのも、そういう軍師としての力を試す意味での質問だったってこと?)  うわっ。普通にひどい。 「というわけで」  地味にショックを受けていた私の目の前に、一瞬だけ師匠の顔が広がった。 (……え?) 「はい、残念賞」  残念賞……って、あれ、にっこり笑って言ってくる師匠はもう目の前にはいなくて、さっさと立ち上がって机に向かおうとしていて―― 「――っし、師匠っ!?」 「なに、急に大声出して。休憩終わりだよ。ほらさっさと仕事始めて」 「えっだっ、だっていま」 「残念賞が不満? まあ、頑張ったら、もっといい賞をあげるよ」 「い、いい賞、って」 「知りたい?」 「――い、いいです! こっこれ片付けてきますから!」  茶器を乗せた盆を持って、私はばたばたとその場を逃げ出すしかなかった。
(っし、師匠、のばか――!!)


 ――そうして、私が「もっといい賞」を知ることになるのは、それからもう少し先の話。


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 何で師匠にはまうすつーまうすのちゅーイベントが無いんだ!(だんっ) というパッションを勢いでぶつけたらこうなった。  反省はしていない。
 あと色々な物の名称とかがわからーんと叫んでたら、すごい人達から物凄い勢いでリプライ飛んできて土下座祭りでした。  おおお皆々様本当にありがとうございました土下座ー!

_ [雑記] おわったー

続いていた修羅場が終わってしばらくぶりに自由(時間に余裕がある)の身になりました。お久し振りです。

そしてうっかり恋戦記です。さらにうっかりチーム師匠に所属することになりました。先立ってプレイしていた身内の皆が口を揃えてお前は赤い人だと指差してきてたんですが、いざ蓋を開けてみたら何故か師匠でした。あるぇー? あと諏訪部(わかりやすい) とはいえまだフルコンプはしてないので、あと三人程頑張って来ようと思います。

今月中はまだ微妙にばたばたするんですが来月からは落ち着くはずなので、そしたらゆっくりEoEとかニーアとかAT3の他ルートとかルカルート再開とかやるぞー。先日のトウコウにおける超絶ロアルカ祭りにも乗れなかったっていうかそもそも字書きでトウコウに特攻とか自傷行為以外の何物でもないので、ロアルカ祭りとかもやりたいなあ。一人でもるっかるかしてやるもんね! あーほんとルカかわいいよルカ。


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