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日々是ダメ人間/雑記

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2008-03-09 ありがとうbk1……!!

_ [ネタ文] gift idea(ロアルカ)

ED後ロアルカ。もはや楽しいのは私だけという世界になってきているけど気にしないことにします(しよう)


「今年の誕生日プレゼント、何がいい?」  表情をわりと真剣なものにして、何やら改まって名前を呼んでくるので何事かと居住まいを正してみたら、例によって予想の斜め上の質問が投げつけられた。  去年も一昨年も、ルカ的にはサプライズを狙ったらしいアレやらソレやらを贈られたことは、しっかりと記憶に残っている。一部忘れたい何かが含有されているのはご愛敬ということにしておこう。 「何……と言われてもな」  お前は物欲が乏しい、そう何度か言われたことがある。実際、私物として持っているものは人と比べたら多くはない気がする。だがそれだって必要最低限のものは揃っているし、不便はしていない。  だから、何か欲しい物がないかと言われると、正直困ってしまうことが多い。  武器や防具はその都度修理に出したり、新作が出来たら買い上げたりしているし、そもプレゼントとして所望するものではない気がする。  では武具以外に何か入り用な物はないかと考えると、……やはり思いつかない。 「何でもいいよ? ほら、去年とか一昨年とかはその、ちょっとクロアに迷惑かけちゃったかなーって部分もあった気がするし……だから、今年はクロアが本当に欲しいものにしようかなって」  悪気など一切なかったにしろ、過去に二度自ら引き起こした黒歴史のことを、一応悪かったとは思っていたらしい。  自分の生誕を祝ってくれたり、贈り物をしようと思ってくれるその気持ちだけで普通に胸がいっぱいなのだが――言ったところでルカは聞いてはくれないだろう。よって自分にできることは、どうにかして被害を拡大させないことしかない。  それを考えると、今年の提案はとてつもなく良心的で、魅力的すぎた。できれば来年以降もこれでお願いしてもらいたい。  ――だがしかし、肝心の「欲しい物」とやらが思いつかない。 「……本当に、何でもいいのか?」  考えながら、先程のルカの言葉を思い出して確認してみた。 「うん! あ、でもできれば、私にできる範囲でお願いしたいかな……」 「そんな無茶は言わない」  呆れ気味に笑うと、えへへ、とルカも笑ってくれる。そして、さあ言って!とばかりに期待の眼差しを向けてくる。 (欲しいもの、か……)  あえて言うなら、ないわけではない。  先程言った通り、無茶を言うつもりもない。  ないのだが。 (……物は試し、か)  考えるために天上付近へ浮かせていた視線を、ルカの顔に戻す。表情を軽く引き締めるルカをじっと見据えながら、はっきりと告げてみた。 「ルカがいい」 「……へ? え、えっあの、わ、私……?!」  面白いぐらいに動揺したルカがおろおろと自身を指差すので、うん、と頷いてやる。  するとますます混乱してしまったらしいルカが、えええ、とかでもあの、とか意味のない言葉を呟きながら、どんどんと顔を赤くしていく。  その様があまりにも可愛らしいのでこのまま抱き潰してしまおうかという欲望が鎌首をもたげたがあえてスルーして、 「その日、ずっとルカと一緒にいたいって意味でな」  もう少し詳しく要求を述べてやると、あわあわしていたルカの動きがゆっくりと止まっていき、 「そ……そう、あはは、そうだよねっ! うん、えへへ、それぐらいなら、うん、何とか……」  言葉だけはまだ落ち着かないまま、どこか安心したように笑った。  が、その笑みが真顔に変わる。 「本当に、そんなのでいいの?」 「ああ。それがいい」  メタファリカが紡がれて数年、初期段階から様々な問題を抱え続ける移住計画も、第三フェーズへと移行しようとしている。  そんな移住計画の中枢を担う御子と大鐘堂は、今もってなお日々を忙殺され続けているのだ。ルカの護衛の任に就くことが一番多いとはいえ、一日行動を共にするにしてもあくまで仕事の範囲でしかない。二人で話せる時間など数分あればいいところだ。下手をしたら仕事の話と挨拶だけで終わることもある。  今何よりも欲しているのは、ルカと二人で過ごす時間。  それは長ければ長いほどいい。ただ、「誕生日」にかこつけるなら許されても一日が限度だろうし、本当に実現するなら半日だって構わなかった。  互いの睡眠時間を削りながら話すよりはよっぽど、心が安らぐと思うから。 「わかった。とりあえず、クローシェ様にお願いしてみるね。……ただ、誕生日当日、は無理かもしれないけど……」  ルカは張り切ったのも束の間、途端に申し訳なさそうに肩を落とす。  その沈んだ頭に手を乗せて、ぽん、と優しく叩いてやった。 「わかってる。いつだっていい」 「……うん。よーし、頑張るぞー」  大陸中の誰よりも多忙を極めている、そう言っても過言ではないクローシェ様に、そんなことを進言するのはさぞかし勇気が要るだろう。  いつだって妹を気遣うことを忘れない優しい姉は、胸のどこかで罪悪感すら感じているかもしれなかった。  そんな彼女を見て、調子に乗りすぎたと思わないでもなかったが、何しろ年に一度のことだし――クローシェ様からのわかりやすい妨害もここ最近後を絶たないことだし――これぐらいは許してもらおうと目を瞑ることにした。 「私もそうしようかな……」  ぽつり、とルカが呟いた。  何がと聞き返すと、ルカはどうやら独り言のつもりだったらしい。えへへ、といつもの照れ笑いを浮かべて、こちらを見上げてきた。 「次の私の誕生日プレゼントも、そうしようかなって」  大陸をあげての盛大な祭りが開催されるであろうその日、彼女に贈られるのは様々な祝辞と、膨大な量の――それも政治色の濃い――贈り物。  当然ながら式典だのパーティだのが朝から晩まで続くため、仮にルカの言うことを実現しようとすると、自分と同じく当日に贈るのはかなり無理なプレゼントになる。 「もちろん当日は無理だろうけど、今から計画的にやれば何とか一日ぐらいは空けられると思うし……そしたら」  ルカの細い指が、二本だけ立てられる。 「少なくとも年に二日は、クロアとずっと一緒にいられるよね?」  それは、随分と地道で気の長い長期計画。  その実現に伴う困難はきっと、メタファリカ移住計画にも劣らない、そんな予感がする。  けれど、そのひどく魅力的な提案に対して、反対する理由はどこにも見当たらなかった。 「――そうだな」  立てたままの二本指を強引に崩して、手指を絡ませる。  そのまま強く握り込んで、こつり、と額同士をぶつけてから、そっと唇を重ねた。


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 EDから数年後の話とかそれはもはやロアルカという名のオリジナルじゃねーかとひたすら自分でツッコミつつも書けと言われたので書いた。  自分しか楽しくなかったり身内にしかわからない話しか書けないのはいいかげんどうなんだろうなとガックリしつつ、まあうんおめでとう私(虚)


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