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日々是ダメ人間/雑記

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2008-07-29 で、7月予定って書いてあるインフェルちゃんオンステージまだー?

_ [ネタ文] Second Promise(ヴェイフィロ)

誰かヴェイン×フィロのうまい略し方を教えてくれませんかのう。ヴェフィ? ヴェイロ? どっちにしてももはや原形をとどめてない感が漂うのは何でだぜ。

というわけでフィロED後のヴェイフィロ(に落ち着いてみた)っぽい補完。いつだって物足りないEDに対して捏造三昧、それがアタイのジャスティス!(……)

EDでのイゾルデ先生の発言(卒業後のヴェインに人並みの静かな生活は望めなさげ)+5年後には寝たきり生活に近そうなフィロの病状からして、各地を放浪しながらの研究とか無理だよなどこか居を構えて看病しつつの研究がベストか(普通に病院入れたとしたら薬持ち込めなさそうだしそもそも頻繁に見舞いに来たら(ヴェインの存在価値的に)妙な噂立ちかねないし)、とかまあ以下はそんな感じの前提でよろしく!


「ねえ、ヴェインくん」 「うん?」  半身を起こしたフィロの肩にストールをかけながら返事をして、傍らのイスに腰を下ろした。  そうして話を聞く態勢を整えてから、改めてフィロを見やる。 「今更といえば今更なことなんだけど……」  フィロは毛布を見つめたままで、こちらを向く気配がない。  その表情は下ろした髪に隠れがちでうまく判別できない。うん、と相槌だけを打っておく。 「わたしが病気にかからなかったら、ヴェインくんは……ここには、いなかったんだよね」  彼女の言う「ここ」というのは、二人(と一匹)で住んでいるこの建物のことではない。そう理解して、再びうん、と頷いた。 「フィロ、僕は……」 「あっ、違うのそうじゃないの、そういうことじゃなくて」  まだ何も言ってないのに強引に遮ってきたフィロの顔には、ぎこちなさの残る笑みが浮かべられていた。  鈍感という自覚ある自分にも「ぎこちない」と感じられたのは、付き合いが長いせいだろうか、それとも。 「……今日ね、学園にいた頃の夢を見たんだ。それで、なんとなーく色々思い出したり考えたりしてて」 「へえ。どんな夢だったの?」 「んー、忘れちゃった。夢って起きた瞬間は覚えてるのに、思い返してるうちに忘れちゃうよね。うん。今日のもそんな感じ」  そんなものだろうか。  とはいえ、自分はあまり夢は見ない方なので、彼女が言うことの方が正しいのだろう。 「不思議だよね。わたしが病気になって、ヴェインくんのお父さんがわたしを助けてくれて……」 「それで、僕が生まれた」  徐々に声を萎ませていくフィロが僅かに俯いたのを見逃すはずもなく――途切れた言葉を続けると、フィロはびっくりしたように顔を上げた。  僕はただ、何もなかったかのようにフィロを見つめた。……うん、ちゃんと顔が笑みっぽくなってる自信はある。 「……うん。それで、ヴェインくんはわたしの病気を治してくれるって約束してくれて……なんだろ、巡り巡ってるみたい」 「確かに。円環みたいだ」 「そうかも」  学生時代にさんざん頭を悩ませた記憶が蘇ってくる。  込み上げてきた何か――懐かしさ、だろうか――に僕らは小さく吹き出した。 「ヴェインくん、わたしね」  ひとしきり笑ったあと、今度はどこか気恥ずかしそうに、フィロは視線をそらした。 「ちょっとだけ、……ちょっとだけ、約束が叶わなくてもいいかなあって、思ってるんだ」 「え? フィロ――」 「もちろん、ヴェインくんが思ってるような意味じゃないよ? 何て言ったらいいのかな、えっと……約束が叶う日が、もうちょっと先になってもいいかなー、って意味……かな?」  再び俯いた視線の先――毛布に置いた手の指を忙しなく動かしながら、フィロは頬の赤味を増量させていく。 「ほらその、ヴェインくんは約束を守ろうとしてくれてて、その、それで……わたしがヴェインくんを一人占めしてるみたいになっててて、でも皆だってヴェインくんと会ったり話したり遊んだりしたいんじゃないかなとか思うし」  どんどん早口になっていくフィロは、じっと見つめてくる視線に気付いているんだろう。  けれど、話しかけてきた時と同じで決してこちらを見ようとはしなかった。 「悪いなあって思ってるんだけど、でもその、ちょっとだけ……嬉しいなって。ヴェインくんと一緒に居るの、楽しいし、嬉しい」 「フィロ……」 「だから、約束が叶うのがちょっとぐらい先延ばしになっても、それはそれでいいかなって――……あ、あはは、何言ってるんだろわたし」  気にしないで、と笑い飛ばそうとしたフィロの手を、先んじてきゅっと握った。 「……ヴェインくん?」 「フィロ。もう一つ、約束しようか」 「も、もう一つ、って……?」  目をそらされないように、じっとフィロの瞳を覗き込む。  以前ならうまく言えなかったことも、――今なら、ちゃんと言葉にできそうだから。 「必ずフィロの病気を治す。これが一つ目の約束だよね」 「う、うん」 「だから、もう一つ。フィロの病気が治った後も、ずっとフィロと一緒にいる、って」 「え……?」 「フィロの病気が治ったとしても、その後に……その、副作用みたいな何かがあるかもしれない。だから、元々病気が治ってもしばらくは一緒にいるつもりだった。でも、それだけじゃなくて」  口の中が妙に乾いた気がして、唾液を軽く嚥下する。  不自然に空いた間に、フィロが小さく復唱してきた。 「……なくて?」 「病気が治りました、じゃあさよなら、……なんて、寂しすぎるよ。僕も、フィロと一緒にいるのは楽しいし、嬉しいって思う」 「ヴェイン、くん……」 「それに、学園に入ってからずっと、フィロと一緒に過ごしてきたようなもんだし。急に、その、側にいなくなったりしたら、変な感じが――」 「にゃあ」  拙い言葉に不躾に割り込んで被せてきたのは、いつの間にか部屋にやってきていた黒猫だ。 「サルファくん!」  フィロの呼び掛けには応じず、猫は僕の方をじっと睨んでくる。 「……そうだね、一緒にいる期間ならサルファの方がずっと長いか……」  ようやく気付いたか、とばかりに鼻を鳴らすと、猫はひょいとベッドに飛び乗った。 「そっか、そうだよね……って、え」  猫が当然のように丸くなったのは、毛布のかかったフィロの足(正確には太股)の上だ。  素直じゃない猫の優しさに苦笑しつつ――やや戸惑い気味のフィロを諭すように、優しく告げる。 「サルファも、フィロとお別れするのは惜しいって」 「え?」  僕は知ってる。  フィロが昼間起きている時、日向ぼっこだとか温かいからとかいう理由で――もう言葉は通じないけれど、目が合った時にそう言い訳している気がした――、サルファがフィロの膝上を寝床にしていることを。  そうやって、フィロに何かあった時に備えてくれてるってことを。 「フィロの膝枕……っていうのかな、これも。まあともかく、気に入ってるみたいだから、サルファ」 「サルファくん……」  フィロは猫の背を撫でようかどうか迷って、やがてそっと指先だけでその毛並みに触れた。  猫はごろごろと喉を鳴らしもせず――けれど、されるがままじっと動かなかった。 「ね、フィロ。二つ目の約束、どうかな」 「……うん」  随分間が空いてから、震える声が返ってきた。 「あ、あれ? や、やだな……悲しくなんか、ないのにっ……」  フィロは伏せていた顔に両手をあてて、ごしごしと目の辺りを擦った。  だいぶ乱暴なやり方だったので、やんわりと止めさせる。 「フィロ」 「ほ、ほんとだよ? 嫌とかそんなんじゃなくて、……嬉しい、のに。すごくすごく、嬉しい、のに……!」 「うん。わかってる」  だからいいよ、と主語もなく告げると、フィロは一つ大きくしゃくりあげてから、ぼろぼろと大きな粒をこぼし始めた。


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 一応恋愛感情は込みではあるけど、比重的には家族・仲間的なかけがえない存在としてどうこう、って方が高そうな感じ。二人ともそっち方面は疎いちゅーか未発達なイメージが。  後になってこんな約束したんだよって周囲に話したらいやそれって思いっきりプロポーズじゃない、とかツッコまれて初めて気付いて二人それぞれに動揺したらいいとおもいます。
 看病と研究の甲斐あって、普通の人よりは短いけれど当初想定されてたよりはずっと長く、皆と一緒に生きることができて私は幸せだったよ、ってなったらそれでいいなあと思う派の私です。  そしてヴェインはそのまま放浪の旅に出て姿を消したらいんじゃね、とか思ったりしてて本当にすいません(色々台無し気味)
 などと補完なのに色々台無しにしつつ(最低だ)、これはマナケミアそのものを勧めてくれた某さんに捧ぐー! 本当色々ありがとうありがとう!(がっし)


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