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日々是ダメ人間/雑記

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2008-09-23 ヴェスペリアプレイ中

_ [ネタ文] witch's approval(ルルC)

ギアスR2#21、空白の一ヶ月間の最初の方を適当に脳内補完。


「――いいだろう」  聞き終えると、C.C.は腰掛けていたソファから立ち上がった。  コツ、と床を鳴らしながら近づいてくる。  何のつもりかはわからなかったが――先ほどの言葉は了承の意味のはずだ――何をされても甘んじて受けるつもりだった。  そう例えば、殴られるなり、罵られるなり――最低限、俺の命が無くならないのであれば、どんなことでも。  部屋にスザクを呼んでいないのはそのためだ。俺の考えに賛同してくれたあいつは、この女が俺に危害を加えようとすれば間違いなく止めに入るだろう。実力行使で。  俺もスザクも大切なものを失った。  だがそれは、もう目の前まで来ているこの女も、きっと。  そして――そうさせたのは、他ならない俺なのだ。  俺のせいで、この女は長年連れ添った仲間を裏切った。魔女さながらに。  己の裏切りで、目の前で仲間が散っていった。それを止めることなく、こいつはただ見つめていただけで―― 「……」  C.C.は何も言わず、両腕を伸ばしてきた。  首でも絞められるのだろうか。まあ、落ちない程度になら受けよう。  仮に絞め痕がついたとしても大丈夫だ、今作らせている皇帝の衣装は一応首周りが隠れるデザインになっている。  俺は無抵抗の意を示すよう、そのまま目を閉じた。  眼前の気配は怯むことなく、ゆっくりと近づいてきて―― 「……っ?」  気が付けば、頭部全体が温かいものに包まれていた。  その上でぽんぽんと頭頂部を叩かれ、髪をゆっくりと撫でつけられる。 「……何の真似だ」  C.C.はすぐには答えなかった。  何度か髪を撫でてから、僅かに俺の頭を抱える腕へ力が込められる。 「なに、大した事じゃない」  ふ、と小さく笑う。 「そんな大きな計画を前に、お前が消沈したままでは困ると思ってな」 「消沈? 誰が」 「お前がだ」 「……」  お前の間違いじゃないのか、という言葉はぐっと飲み込んだ。  この女に、膝を抱えて弱々しく言葉を紡がせた一因。そこには間違いなく俺が入っている。 「言っていただろう? 自分は世界のノイズだとか、邪魔者だとか」 「……ああ」  そういえばそんな事も言ったな。  だがそれがどうした。それは否定しようのない事実だ。受け入れるべき現実だ。  そして俺はそれを受け入れた。  認めたからには、その存在をとことんまで突き詰めてやろう。  それは、今しがたこの女に話し終えたゼロレクイエム構想のきっかけの一つだった。 「だいぶ遅くなったが、答えてやろうルルーシュ」 「え?」 「お前らはどう思う、と自分で聞いただろう」  今更な話だ。  聞き流せばいいものを、いちいち掘り起こして……ああそうか、こいつなりの嫌がらせなのかもしれない。  ならば甘んじて受けるまでだ。 「私はそうは思わない」  きっぱりと、女は断言した。 「お前がいなかったら、今の私はここにいない。……ありがとうと言われることも、名前を呼ばれることも、……笑って死ねそうにもなかっただろうしな」  女の腕がさらに絡み付き、きつく頭を抱え込まれる。 「だから、私はお前をノイズだとも邪魔者だとも思わない。……必要な存在、そう思っている」  不意に、ご主人様、と俺を慕う女を思い出した。  魔女としての記憶をなくし、右も左もわからなくなっていたあの脆弱なC.C.にとって、確かに俺は必要な存在だっただろう。  他に頼るものがないから。他にあの女のことを知っている人間がいないから。  だから、事情を話したカレンがいれば、俺がいなくなっても何とかなる。そう思っていた部分は、確かにあった。  見捨てたつもりはなかった。  俺から遠ざけることが一番の安全だった、それだけだ。 (……でも、結局、こいつは戻ってきた)  何もできない無力な少女としてではなく、魔女として。全てに絶望した、魔女の成れの果てとして。  そうして今、この女は言ったのだ。  俺が必要な存在だと。  例えそれが、あの一方的な約束という、脆すぎる繋がりによるものだとしても――俺は、それを。 「……そうか」 「ああ、そうだ」  しばらく言葉もないまま、ただされるがまま時間を過ごす。  そう、俺はこいつから甘んじて全てを受けると決めた。  だから、この女が離れようとするまで、そのままにした。


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 つまるところ自己満足以外の何物でもなかったよ本当すいません。
 以下は蛇足。


 やがてゆっくりと身体を離し、C.C.は座ったままの俺を見下ろした。その視線を正面から受け止め――見つめ返す。  ふ、とC.C.は仏頂面に苦笑めいたものを乗せた。 「本当に、笑って死なせてくれるんだろうな?」 「……ああ。約束しよう。必ず」 「ならばその約束、受けよう」  音もなく差し出された手に、自分のそれを重ねる。  二人同時に握りしめた――瞬間、思いっきり引っ張られた。 「っ!?」  勢いで僅かに腰を浮かせたところで、何をする、と言いかけた文句は強引に飲み込まされた。  唇を離したC.C.は、からかうような笑みを浮かべ――実際、からかうように言った。 「契約ならば握手だろうが、今の約束は「誓い」だろう?」  誓いを破れば、そこに待つのは罰。  もし俺がC.C.を笑って死なせてやれなかった時、俺を襲うであろうもの。  それはきっと大いなる罰になるだろう。 「ああ、その通りだ」  立ち上がり、C.C.の顔を覗き込む。 「……まだ何か誓うものがあるのか?」 「いいや。誓いを重ねて、より強いものにするだけだ」 「ふん、殊勝なことだ」 「まったくだ」  交わした軽口は、俺の――俺達の身体から幾分緊張を取り払ってくれた。  だから、今度は前歯を強打することもなく、儀式は滞りなく終了した。


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 本編でしっかり言ってくれたし、そもそもしょうもない自前妄想ネタを引きずるのもどうかと思ったけど二人をいちゃこらさせたかったただそれだけだった!  今は反省している。


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