2008-12-20 Paradise Lost エンドレスリピート中
_ [ネタ文] woman's enemy(ユリエス)
正直ユリエスとか言えないだろこれ……とかいう小話です。ギャグです。
「ユーリは、毎晩秘密の特訓をしていたりするんです?」 「は?」 ――というのは、聞きたいことがありますと微妙に思い詰めた表情で特攻してきた少女に、そこはかとない嫌な予感を拭えぬまま何だと返してみた結果である。 「……なんだそりゃ」 頭を抱えたくなった衝動を頭を掻く仕草へ代えられたことにほっとしつつ、とりあえずぼやく。 「ですから、秘密の特訓です。夜中、皆が寝静まった頃に出て行って宿の裏で素振りをするとか」 「随分具体的だな。ちなみに一度たりともやったことないぞそんなもん」 「ないんです!?」 ショックだとばかりに叫ばれる。 こちらとしては、彼女の中の俺はそんなイメージなのか?というあたりにショックを受けておきたい。 そんなフレンじゃあるまいし……いや別にフレンがそうしているのを彼女は見たことがあるのかとか、フレンがそうだから俺もそうだと思われているのかとか、そんなことは本当にどうだっていい。 「本当に、ないんです……?」 「ないな。生まれてこの方一度も」 「そんな……じゃあどうして」 まるで悲劇のヒロインよろしく後ろへよろめく少女。おいおい大丈夫か? 一瞬手を差し伸べるべきか迷ったが、見れば足下はわりとしっかりしているのでその必要もなさそうで、何となく手持ち無沙汰な気がした手はもう一度頭にやってがりがりとしておいた。 「なあエステル。誰に何を吹き込まれたのかはわからんが、一体何の話なんだ? それは」 「そ、それは……」 エステルこと、エステリーゼ・シデス・ヒュラッセイン皇女殿下は、ひどく辛そうな憂いの表情で僅かに目を伏せた後、 「――ユーリは女の敵だという話ですっ」 そう言い捨てるなり、口元を押さえながらぱたぱたと走り去って行った。
「……なんだそりゃ」
――甘味をあれだけ食しているにも関わらず太りもしないその体型には理由があるに違いない。
それが、ダイエット中の女性陣が出した強引で無茶苦茶な結論であると知ったのは、数日の間、女性陣からことごとく蔑視の目を向けられ続けた後のことだった。
「まーおっさんもどうかと思うけどねえ、大将の甘党ぶりは」 「でも本当、何で太らないんだろうね。食べたあとそのままゴロ寝とかもしてるのに」 「知るか。体質なんだよ、たぶん。昔からこうだったしな」 「……大将、それ間違ってもみんなの前で言わない方がいいわよ」 「同感」 「……わぁってるよ。ったく、好きなもんを好きなだけ食って何が悪いんだか」 「わうっ」 「……へいへい」
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どうしてヴェスものを書くといつもオチないんだ……。
というわけで、ダイエットが辛かったのでユーリに八つ当たりをしかけたのは言うまでもなくジュディスさんでしたとかそんな流れでひとつ(ここで落としても)